研究課題/領域番号 |
19K01035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
平田 茂樹 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (90228784)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 啓 / テンプレート / 読書共同体 / 集合心性 / 手紙 / ネットワーク / コミュニケーション / 集団心性 / 公と私 / 書 / 済王冤案 / 梅花詩案 / 血縁 / 地縁 / 学縁 / 業縁 / 趣味 / 重層 / 複合 / 空間 / 移動 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の宋代士大夫のネットワーク研究が、政治、文化、学問等のネットワークや交遊圏など異なる関心に沿って進められてきたのに対し、本研究はこれら異なるネットワークを統合化するとともに、「交遊空間」「移動」の視点を導入することにより、当時のネットワークの実態解明を目指していく。具体的には、(1)定期的な研究会の開催、(2)宋代士大夫のネットワークに関するデータベースの作成、(3)「情報コミュニケーション」、「手紙」に関する他のプロジェクトと連携、などの方法を用いながら、インターネット上及び『大阪市立大学東洋史論叢』の雑誌などに逐次研究成果を公開していく。
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研究実績の概要 |
劉克荘の文集に所載されている書信は大きく分けて「啓」と「書」に大別される。「書」は公文書と連動して用いられる公的な機能を有するものがある一方、多くが私的領域において親しい友人・知人間において様々なことを議論したり、心情、意見を交換する媒体として用いられる。そのため、文学、思想史の領域において多くの成果が出されている。一方、「啓」は昇進、赴任、退任、誕生日など折々の儀礼的な書信としての性格が強く、宋代書信研究においては十分な分析が行われていない。 本研究では劉克荘の「啓」を網羅的に分析し、以下のことを明らかにした。(1)「啓」には公的空間で用いられるものと私的空間で用いられるものがあり、その対象は異なる。(2)「啓」は儀礼的な挨拶文として用いられるため、一種のテンプレートのように同様な表現が用いられる。これは「啓」の送り先がしばしば複数であったことと関係する。また歴史的な故事を比喩的な形で使用するが、その中に作者の個人的な体験や心情が潜んでいる。(3)「啓」の使用法を見ていると「状」「書」などと連動して用いられている事例を確認することができる。書信研究においてはこうした複合的な視角が不可欠となる。(4)「啓」は個人の意見や心情を表すものであるが、その一方、「啓」は歴史的故事を用いた比喩が多く、読む側に共通な認識を求める一種の「読者共同体」 を前提とするものであり、そこに当時の士大夫たちの「集合心性」を読み取ることも可能である。
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