研究課題/領域番号 |
19K01056
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉田 浩 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (70250397)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 農奴解放 / 大改革 / 帝政ロシア / アレクサンドル2世 / クリミア戦争 / ロシア経済史 / ロシア政治史 / 専制 / 政治史 / 財政金融政策 / ロシア / 政治 / 帝国 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀後半のロシア帝国がいかなる意味で専制国家であったかを歴史具体的に明らかにする。まず制度史的考察をおこない、法律制定の際に皇帝に助言する国家機関の役割を明らかにする。次に、皇帝がこれら諸機関の意見に賛成する場合、反対する場合に分け、反対意見を述べた場合はなぜそうしたのか、皇帝の意見がどのように形成されたかを政府上層の人間関係から明らかにする。この作業により、専制体制下において「合法性」や「公開性」がいかに担保されていたか、恣意的支配の範囲はどのくらいであったか、政策決定に世論の影響があったかなどを明らかにし、ロシア国制の強さと弱さ、専制国家における法の支配や市民社会形成の問題を考察する。
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研究成果の概要 |
(1)農奴解放や大改革がおこなわれたきっかけについて、従来はクリミア戦争の敗北を重視する見解が主流であったが、クリミア戦争後の経済政策の失敗が決定的要因であることを明らかにした。すなわち1857年7月20日の公債金利の引き下げが致命的な金融政策となり、国家破産が現実味をおびた。そのため農奴を抵当とする国家貸付が廃止されることにより、地主貴族は農奴解放の実施を受け入れた。 (2)農奴解放について皇帝自身は自らのアイディアを必ずしも有しておらず、状況的に実施が決まり、具体案作成は専門家委員会に委ね、貴族への説得や土地なし解放案から土地付き解放案への変更など重要な節目においてイニシアティヴを発揮した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ロシア皇帝が農奴解放を決意した理由について、クリミア戦争の敗北による国家体制の刷新の必要性が強調されてきた。しかしそれは敗北のインパクトを2つの世界大戦と同等に評価する誤解に基づいている。本研究は史料に基づき、クリミア戦争の敗北は軍の近代化や財政赤字解決のための経済改革を必然化したが、農奴解放と直接関係なく、前治世からの積み重ねの延長上にあることを示した。農奴制の廃止は貴族の特権を剥奪することを意味するので、専制の基盤を揺るがすものである。そのきっかけを明らかにすることは、専制や独裁権力が自らの体制や権力基盤を修正するのはどのような場合にありうるのかという現代的課題に歴史的実例を提供する。
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