研究課題
基盤研究(C)
湿潤変動帯に位置する日本列島は,世界的にも高い削剥速度を有していることが,ダムの堆砂量などから明らかにされている。そのような高い削剥速度を維持するための土砂生産プロセスについて,これまで,大規模崩壊(の発生)による寄与が大きいと考えられてきた。しかし,近年の研究成果によって,南アルプスに分布する大規模崩壊地では,大規模崩壊地形成後の継続的な土砂生産による削剥速度が非常に高く,流域の主要な土砂生産源の可能性が示された。そこで,本研究では,南アルプスを対象に,航空レーザ測量データや無人航空機による写真測量技術,現地観測を組み合わせ,大規模崩壊地における活発な土砂生産プロセスの実態解明を目指す。
湿潤変動帯において,大規模崩壊発生後の崩壊地からの継続的かつ活発な土砂生産が普遍的な現象なのかを明らかにするため,南アルプス早川流域を対象に,大規模崩壊地の時空間的な分布とその土砂生産プロセスを調査した。2時期の航空レーザ測量データや旧版地形図を用いた地形解析から,既存の大規模崩壊地からの土砂生産量の寄与度が大きいことが明らかになった。また,七面山崩れを対象に,現地での重点的測量・観測等に基づき,土砂生産の実態を議論した。
湿潤変動帯の大起伏山地において,既存の大規模崩壊地からの継続的な土砂生産の寄与度とその重要性については必ずしも十分に評価されていなかった。本研究によって,既存の大規模崩壊地は流域の主要な土砂生産源であることが明らかになった。大規模崩壊地での土砂生産の実態解明は,山地の土砂生産システムのさらなる理解に貢献するとともに,流域の適切な砂防計画・対策を行う上で重要な知見となることが期待できる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
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