研究課題/領域番号 |
19K01337
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
富永 晃一 上智大学, 法学部, 教授 (30436498)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | セクハラ / パワハラ / 性差別 / 平等 / ハラスメント / 職場いじめ / セクシュアル・ハラスメント / 性差別禁止 / パワーハラスメント / プライバシー / いじめ / 性的いやがらせ / ブリング / 性的嫌がらせ / パワー・ハラスメント / 差別禁止 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本法・アメリカ法・ドイツ法等の比較法研究により、いわゆるセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)を中心に、ハラスメントへの規制のアプローチ(社会通念、差別禁止)の影響という切り口から、職場におけるハラスメントの定義(概念)、成立の限界やそれらの時代的変遷・雇用社会構造上の相違の影響を調査・分析することにより、ハラスメントへの規制の射程を明らかにし、判断枠組みの確立・判断基準の明確化を図るものである。
|
研究実績の概要 |
日本法、アメリカ法(及び、一部ドイツ法)のセクシュアル・ハラスメント(以下「SH」)に関する文献等の収集と、裁判例の整理を行い、日本法の均等法上及び民事訴訟法のSHを中心に検討を行い、その概要は以下のとおりである。アメリカ法上のSHは、あくまで公民権法第七編上の「性差別」の一類型であり、「性的な関心に基づく言動か否か」ではなく、言動が「性差別であるか」により判断される。これに対し、日本法の均等法11条は、「性的な言動」を規制対象としており、この「性的な言動」は「性的関心に基づく言動」と解されるため、性的関心には基づかないが性差別的言動(講学上のジェンダー・ハラスメント)は射程外となる(ただしこれらの性差別的言動も民事上の責任は問われる可能性がある)。また、アメリカ法上のSH(公民権法第七編上の「性差別」の一類型)には、A「意に反する(望まれない、”unwelcomed”)」とB「過酷又は広汎な職場環境の悪化」という要件が存するところ、Aは主観的に判断され、Bは主観・客観の両側面から判断される。職場環境の悪化は「合理的な個人("reasonable person”)」の観点で判断される。これに対し日本法では「意に反する」と「不快な(言動)」「職場環境の悪化」とは総合判断とされ、主観的要素が重視される(客観的に不快な言動・職場環境の悪化がなくとも、本人が意に反することを示せばその後継続しての同様の言動がSHとされうる)。比較すると、日本法のSH規制は性的な言動に敏感な者を保護する規定という性格が強い。すなわち日本法上のSH概念は「社会通念に沿わない性的言動を規制する」(しかも基準は男女別である)というものであり、日本的雇用慣行の間接差別的な側面には切り込みにくい。また社会通念での判断基準は、柔軟な判断を可能とするが、法的安定性が高いとは必ずしも言い難い。
|