研究課題/領域番号 |
19K01381
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田山 輝明 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 名誉教授 (30063762)
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研究分担者 |
志村 武 関東学院大学, 法学部, 教授 (80257188)
黒田 美亜紀 明治学院大学, 法学部, 教授 (60350419)
藤巻 梓 国士舘大学, 法学部, 教授 (70453983)
山城 一真 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (00453986)
青木 仁美 桐蔭横浜大学, 法学部, 准教授 (80612291)
橋本 有生 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90633470)
足立 祐一 帝京大学, 法学部, 助教 (80734714)
梶谷 康久 朝日大学, 法学部, 講師 (80804640)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 障害者権利条約 / 本人意思の尊重に関する判決 / 成年後見人の権限 / 医療代諾権 / 自滅の権利 / 知的障害者 / 認知症患者 / 社会福祉協議会 / 成年後見制度の比較法的研究 / 必要性の原則 / 補足性の原則 / 成年後見人の代理権 / トリアージュ / 最善の利益 / 行為能力の制限 / 社会福祉の中核機関 / ドイツの新世話法 / 権利擁護のための裁判所外機関 / 成年後見人の医療代諾権 / 健康配慮事務における配偶者の相互代理 / 親族の法定代理権 / 親族における権限の濫用 / 司法オンブズマン制度 / 権利擁護の裁判所外機関 / ドイツの世話法 / 健康配慮事務についての配偶者の相互代理権制度 / 親族代理権制度 / 世話組織法 / 国連障害者権利条約第12条 / 成年後見制度の在り方 / 社会福祉諸機関 / 成年者保護協会の任務 / 医療代諾 / 裁判所の負担軽減 / 身上監護 / 法定代理権 / 成年後見法制の基礎研究 / 財産管理・身上監護における支援 / 成年後見センター(中核機関) / 医療行為と後見人の代諾権 |
研究開始時の研究の概要 |
成年後見制度の比較法的基礎研究として、主として、欧米の成年後見制度の研究を行う。民法上の制度として比較研究がしやすいドイツ・フランス・オーストリアに加えて、イギリス・アメリカ等の諸国の成年後見制度の研究をおこなう。その際、国連の障害者権利条約との関連を重視しつつ、親族後見人支援のあり方、社会福祉協議会の中核機関としての機能、成年後見人の医療代諾権、成年後見人の報酬の適性額等についても検討する。
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研究実績の概要 |
インスブルック大学のガナー教授を招いて、「オーストリア・ドイツ及びフランスにおける国連の障害者権利条約第12条」と題する公開講演会を開催した。また、障害者権利条約、特に第12条との関連で、自分の事務を自ら処理できなくなった場合に、その本人の意思を如何にして尊重して対応することができるのか、について、ドイツの憲法裁判所等の本人意思の尊重に関する判決を参考にして研究を行った。「自殺目的で医師の処方箋なしで麻薬(この場合はペントバルビタールナトリウム)へのアクセスできるか」等が問題になった。宗教や倫理、哲学の領域にも関連する問題であり、極めて困難な問題点を含むが、そこに成年後見人の権限を関連付けることができるか、も検討すべき課題であることが分かった。これは、従来から論じられてきた「医療代諾権」の問題でもあるが、ここでは、まず「本人意思の尊重」の問題として具体化してくる。ドイツの判例を参考にする場合には、同国の憲法で「自滅の権利」とでもいうべきものが憲法で保障されていることを前提にしなければならないが、本質的な問題は日本とも共通していると思われるのである。 このような研究に踏み込んだのは、障害者権利条約の「当事者意思の尊重」の重みを改めて考えてみる必要があると思われたからである。知的障害者や認知症患者の後見や介護を行う際に「当事者意思の尊重」をいうことはたやすいが、それを実践することには様々な困難が伴う。私達、研究者としては、このような困難な問題について、様々な角度から研究し、参考になりうるようなことを提供すべきであろう。 同じようなことは、社会福祉協議会や成年後見センターで知的障害者や重度の認知症患者の権利擁護支援を行っている機関などについてもいえることである。特に、最近、精神障害者の制度利用が増加しているので、「本人意思の尊重」はますます難しくなってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツとオーストリアで取り上げられている「本人意思の尊重をめぐる問題」について、根本的な問題の検討から始めて、地域で障害者達を支える組織の実態にまで研究が進んでいる。 ドイツについては、同国の研究者との共同研究ではなく、最上級裁判所の判決を取り上げた。同判決では、関連の学説が詳細に検討されており、その問題に関する学界の様子をも知ることができる。 オーストリアについては、インスブルック大学のガナー教授から、引き続いて、成年者保護協会の機能(クリアリング等)について詳細な情報を得ている。 成年後見人の適切な報酬については、比較対象国と日本との制度上の違いが大きいため、具体的な研究が進んでいないが、日本でも、この問題について、立法的解決(報酬に関する特別法の制定)が望まれるように思われる。ボランティアと専門職後見人の区別は必要であるが、適切な報酬額に関する研究が望まれる。最近の日本では、「成年後見制度の利用促進」が言われている。しかし、制度の周知・徹底は望ましいが、世界の趨勢は、障害者権利条約(特に12条)の趣旨との関連で、法定代理権を伴う成年後見制度の利用は控える傾向にある。そのような趨勢の真の意味を、今後とも正確に伝えていきたい。日本の場合には、狭義の後見の利用頻度も問題である。 アメリカの研究担当者も、障害者権利条約を批准していない状況で、いかに障害者等の意思が尊重されているか、について研究している。
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今後の研究の推進方策 |
比較対象国の研究者を招いて共同研究を行うことについて、コロナウィルス感染症などとの関連で問題が解消しつつあるので、今後は、実行に移したいと思っている。それを通じて、これまでの研究の成果を深めたいと思っている。事前に文献研究で行えることと専門家と具体的に深く議論をした方が良いことを区別して、後者を重視したいということである。 法制度上の基盤を前提としたうえで、比較対象国を拡大することも検討課題にしたい。そのためには、前提となる情報が必要であるが、共同研究者とその仲間が協力を約束してくれている。 オーストリアでは、成年後見法の分野では、障害者権利条約への対応がほぼ完了し、隣接分野である精神障害者法の分野で立法的対応が精力的になされている。成年者の障害者のみならず、未成年者の精神障害者にも十分に配慮した対応が為されており、注目に値する。既に開始しているが、今後とも障害者権利条約との関連を重視しながら、研究を進めたい。
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