研究課題/領域番号 |
19K01500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
増島 建 神戸大学, 法学研究科, 教授 (30286017)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 難民・移民 / 開発 / 安全保障 / EU / フランス / 人の移動 / 欧州連合(EU) / ヨーロッパ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、冷戦後にみられる紛争への対応の中で提唱された安全保障と開発の連結をテーマとして取り上げる。安全保障・開発の連結は、今日の世界では人の移動(難民・移民)への対応において、問題となっている。先進各国は一方では人の移動が肯定的に取り上げられているSDGs推進を謳い、他方現実には安全保障を優先した政策を推進している。こうしたギャップは、「開発問題化」と「安全保障問題化」という2つの力学のせめぎ合いの結果としてとらえられる。本研究では、人の移動が対外政策の焦点に浮上している欧州連合(EU)のトランジット国・送出国に対する対外政策を事例研究に取り上げることで課題に応えようとするものである。
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研究成果の概要 |
フランスは国際法・ EU法と国内政治世論との間で板挟みとなっていた。政府内では内務省が、移民受け入れに関して、厳格な治安担当者の立場から意見を表明し、他方ではフランス開発公庫はフランス域外だけではなく、フランス域内においても難民、移民定着のための支援をNGOと協力して行っている。外務省はその両者の中間において、フランスの国際的立場の調整を行っていた。外務省に初めて移民担当の大使が設置され、制度的にもそのような仲介的立場を行う措置がとられていた。EUにおいては、安全保障上の観点から欧州対外行動庁が欧州委員会の人道援助・開発援助担当部局と連携して政策を実施していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人の移動をめぐる開発と安全保障の連結に関しては、一方には、人の移動をめぐる政策における理念と政策のギャップを克服すべきものとする批判的・規範的研究があり、他方には、EUの政策をシニカルなものとしてのみとらえる現実主義的な見方がある。本研究は、人の移動に関するEUの政策における開発と安全保障の相克を実証的に示し、その背景を明らかにしようとするもので研究を進展させる意義がある。本研究は治安・安全保障の要請と、SDGsを実現するという国際的公約の間で格闘するEUの事例研究を通して、日本の今後の移民・難民を取り巻く情勢政策の中で、今後とるべき政策やオプションを考える際に示唆に富むと考えられる。
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