研究課題/領域番号 |
19K01581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷川 光 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (30189534)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 所得分布 / 中央値 / 経済不平等度 / ベイズ統計学 |
研究開始時の研究の概要 |
Gini係数は多くの実証分析に利用されているが,所得分布の下位層と上位層の格差が拡大している近年では,Gini係数が所得格差の拡大を十分に捉えた指標となっているのかという問題提起がなされている.このような所得分布の歪みが大きい場合でも,中央値は所得分布の中心の尺度として頑健である.このため,中央値を用いた不平等指標が重要性を増している.本研究では,中央値に基づく不平等度,貧困度,富裕度,格差指標をシミュレーションに基づいたベイズ法によって推定する方法を開発し,その日本のデータへの適用を考える.また,Gini曲線及びZenga曲線を中央値で評価した新しい指標の提案し,その公理的基礎付けを行う.
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研究成果の概要 |
本研究では,中央値に基づく新たな不平等指標を考案し,MCMC法を用いて推定するためのアルゴリズムを開発した.開発した指標や計測方法をいくつかの日本のデータに適用した.
中央値を含めて分布の分位点を扱ったテーマとして,2時点間の分布の変化を考慮したgrowth incidence curve (GIC) がある.Ravallion and Chen (2003) が導入したGIC,及びSon (2004) によって導入されたpoverty growth curve (PGC) の詳細な検討を行った.また,PGCの計算方法を富裕層に適用したrich growth curve (RGC) を提案した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中央値に基づく不平等指標の重要性が確認されているが,わが国では中央値に基づく不平等指標の経済データへの適用例は殆ど無いように思われる.中央値に基づく不平等指標の経済データへの適用は,我が国の不平等研究への本研究の一つの貢献である.また,ベイズ法によって中央値に基づく不平等指標の推定を行った文献も国内外で殆どなく,この点も本研究の学術的意義である.更に,PGCの計算方法を富裕層に適用したRGCを提案し,「全国家計構造調査」のデータに適用し,2014年から2019年までの5年間の成長がpro-richであることを明らかにしたことも,量的金融緩和政策の期間の社会的評価を行う基礎を与える.
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