研究課題/領域番号 |
19K01674
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岩佐 和道 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00534596)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 動学的貿易モデル / 資産市場 / 非効率性 / 不決定性 / 所得格差 / 内生的時間選好 / 非相似拡大的選好 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、二種類の消費財が存在する二部門成長モデルに、非相似拡大的選好を導入することで、所得格差の存在や拡大が経済の成長経路や長期的均衡に及ぼす影響に関して、定性的な分析を行うとともに、課税や所得移転などの経済政策の効果を定量的に評価することを目的とする。本研究には、異時点間の消費の代替弾力性が一定で非相似拡大的な効用関数の特定と、消費財と消費可能な資本財という分割を行った際における各財の所得弾力性を現実のデータから導き出すこと、および大域的な均衡経路が示し得る複雑な挙動の解析も含まれる。
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研究実績の概要 |
本研究では、所得格差の存在や拡大が経済の成長経路や長期的均衡に及ぼす影響について分析を行う。そして、現在、拡大している国内外の所得格差が、経済成長や経済厚生にどのような影響を及ぼし、またどのような政策が有効であるかを明らかにすることを目的とする。 そのため、国際的な資産市場や資本移動が存在しないと仮定したもとで、初期資本量が各国の資本蓄積と貿易パターンにどのような影響を及ぼすかについて分析を行う、基本的な2国2財2要素の動学的ヘクシャー・オリーンモデルを拡張し、国際的な資産市場と非貿易財が存在する動学的貿易モデルを構築し理論分析を行った。 その結果、貿易不可である消費可能な資本財と消費財の間の資本集約度の違いが非常に重要であることが分かった。主に得られた結果は、資本財が労働集約的である場合には、長期的には物的資本が多い国は金融資産が少なくなること、集約度が逆の場合には、長期的に物的資本が多い国は金融資産も多く保有し、また、その際には、初期に物的資本を豊富に有することは、必ずしも長期的な厚生水準の上昇にはつながらないことなどである。さらに、家計の選好が線形に近い場合には、初期時点において、物的資本を貿易相手国よりも多く保有し、かつ金融資産を持つ債権国が、長期的には資本保有量が相手国よりも少なく、かつ債務国となるという状況が起こることが分かった。 上記のように、本研究で構築された動学的貿易モデルにより、非貿易財の資本集約度と家計の選好が、貿易による各国の経済成長への長期的な影響に深くかかわっていることが判明した。
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