研究課題/領域番号 |
19K01780
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鷲崎 俊太郎 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (50306867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 近世 / 江戸 / 金融 / 札差 / 利子率 / 武家貸 / 土地市場 / 家質 / 築地 / 不動産経営 / 抵当 / 明治時代 / 東京 / 内幸町 / 三菱 / 土地不動産 / 借地 / 江木保男 / 増島六一郎 / 近代 / 大阪 / 徳川 / 旗本 / 物価 / 住友 / 金融市場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,江戸市中の不動産抵当史料と札差関係史料,および大阪市中の大名貸史料と三井家所有の町屋敷経営関係史料を素材として,近世日本の金融市場における利子率の時系列的推移を,貸付対象の身分別および都市別に推計し,比較・考察することを実施する。その結果として,近世利子率の長期時系列推移は,地域別・貸付対象別にそれぞれ異なった変動を示したと予想される。それは,近世日本の金融市場が資金需要や供給先の範囲や身分階層を超えた貸借に限界を来たし,裁定関係になかったことを実証させるものであり,明治日本における金融・財政政策の課題が要素市場の全国的統合にあったと想定される。
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研究成果の概要 |
本研究では,近世後期における江戸札差の武家貸利子率を推計し,従来推計された利子率との比較を検討した。従来の研究では,江戸の土地抵当利子率と大阪の大名貸利子率それぞれの時系列的推移しか判明しなかったが,ここに江戸札差による武家貸利子率の推移を併せて考察することで,江戸における異なる身分間の利子率を比較し,武家貸における江戸と大阪の利子率の相違点を見出せるようになった。この結果,幕末の旗本利子率は法的保護によって低利に抑えられていたため,札差の経営は非常に逼迫していた恐れがあること,さらに,利子率の時系列的変化の相違は地域的差異よりも身分的差異によってもたらされるものであることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近世・近代の土地市場・不動産経営に対しては,マスコミや一般的な読者層も関心を寄せている。本研究の期間中,とくに日本経済新聞からは「住宅ローンの起源」というテーマで2021年12月に取材の依頼を受けた。この模様は,2022年4月4日付の『日本経済新聞』夕刊に,「なるほど!ルーツ調査隊 住宅ローン,天下太平の世に誕生」という記事に紹介された。また,2022年4月から同年9月の6か月間においては,三菱経済研究所発行の『経済の進路』第721~726号に連載コラム「千思万考 築地から見える都市経済史」を執筆し,築地を事例として江戸の土地売買市場や土地抵当市場を,一般読者向けに解説した。
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