研究課題/領域番号 |
19K01790
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
若林 幸男 明治大学, 商学部, 専任教授 (60328961)
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研究分担者 |
藤村 聡 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00346248)
谷ヶ城 秀吉 専修大学, 経済学部, 教授 (30508388)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 国際人的資源管理 / 総合商社 / 戦前期豪州 / 現地ホワイトカラー労働市場 / 三井物産 / ステノグラファー / セールスマン / 販売業務委託 / 戦前期豪州羊毛事業 / 兼松 / 三菱商事 / 高島屋飯田 / 多角化多国籍企業 / 歴史分析 / 統合と現地適応化 / 日豪貿易 / 毛織物工業 / 戦前期日豪貿易 / HRM / 羊毛事業 |
研究開始時の研究の概要 |
従来言われてきたように総合商社の国際人的資源管理手法は他の業態に比較しても派遣日本人による基幹事業を中心としたものであった。ただそれは戦後の日本経済が「加工貿易」を中核としていた点、つまり、原料輸入~付加価値の添付~製品輸出という循環のビジネスであった点が大きく影響を与えていた。日本人顧客や他の在外拠点での日本人同僚の注文を中心とした事業(輸出入と外国間取引)を核におくようになっていった点を浮き彫りにすることで、当初現地化を進展させていた総合商社が途中から日本人職員を核とする人的資源管理手法に落ち着いていくプロセスを発掘し、今後の国際人的資源管理の真の国際化の条件を設定する。
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研究実績の概要 |
当該年度における調査活動はコロナによる活動制限にともない、ほぼ実施はできなかったものの、すでに収集した史料のデジタル化によるデータによって、以下の論文を作成、発表した。 若林幸男「戦前期豪州における内部労働市場の発達と日本商社の人材調達」『明治大学社会科学研究所紀要』第61巻第2号(2023年3月)、本稿では、NAA旧蔵の「オーストラリア国立公文書館旧蔵日系企業記録」の収集済みデータを主に使用した。 従来、戦前期の豪州における労働市場についてはAwards制度の運用から、かなり流動的な労働市場の存在が想定されていた。しかしながら、Seltzerらの研究(Seltzer, Sammartino(2009), “Internal Labour Markets: Evidence From Two Large Australian Employers”Australian Economic History Review,49(2))や若林他の『国際人的資源管理の経営史』(日本経済評論社、2022年)によって明らかになった戦前期豪州のホワイトカラー労働市場について、三井物産在豪州拠点における現地採用の従業員、HCNについて、その入社形態と勤続状況から、背後に存在したであろう当時の労働市場の構造を推測するものである。 これにより、1920~30年代の三井物産シドニー支店のHCNの調達市場は3つの主なものを析出することができた。第一のものは14,15歳の初等教育修了者、第二に17歳から20歳までのそれで第二次教育機関修了者、そして第三に大学レベル出身者を含めた専門な職業のそれで、最後の市場は深く外部労働市場と接続していた。 本稿ではこの点を特に強調し、当時の日本の内部労働市場との相違点を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナによる現地踏査の予定を大幅に削減した研究状況である。既に収集したデータの加工を優先させてきたが、コロナによる規制からアルバイトによる入力もオンラインでの作業となって、大幅に能率が低下した。2022年秋からコロナによる規制が徐々に解除されたため、研究会の再開とデータのアルバイトによる入力作業をようやく始めた。
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今後の研究の推進方策 |
再開した作業および研究会を再開する。 さらに、2023年中においては、海外でのデータ収集を再開する予定である。すでに豪州拠点でのデータ収集はほぼ終了したものとして、今回は韓国(当時日本による統治下)でのデータの痕跡を捜索する予定である。三井物産京城(現ソウル)支店におけるデータの収集を目途としてソウル歴史博物館、旧支店跡などを調査するプロジェクトを展開し、後日、台湾拠点との比較分析を計量的に展開する予定である。
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