研究課題/領域番号 |
19K01795
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
澤井 実 南山大学, 経営学部, 研究員 (90162536)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 軽機械 / カメラ / 双眼鏡 / 家庭用ミシン / アメリカ市場 / 四畳半メーカー / ディストリビューター / 海外販売会社 / 中小カメラメーカー / ミシン / アセンブルメーカー / 軽機械工業 / 労働集約型産業 |
研究開始時の研究の概要 |
ミシン、カメラ、双眼鏡などに代表される軽機械工業がいかにして強靭な国際構想力を構築するに至ったのか、さらに日本国内の賃金上昇が続く中で、低賃金基盤ではなく、研究開発力をいかにして獲得していったのかを明らかにすることが、本研究の課題である。 軽機械工業の発展にとって、アメリカ市場の存在が決定的役割を果たした。当初は輸出商社やアメリカの輸入業者に依存していた日本の軽機械メーカーがいかにして自らの流通ルートを構築していったのか、この点の解明も大きな課題である。 以上のような軽機械工業の発展に対して、通産省が主導する産業政策はいかなる役割を果たしたのか、この点の究明も重要な課題となる。
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研究成果の概要 |
双眼鏡、カメラ、家庭用ミシンに代表される軽機械工業の変貌過程を分析した。戦後、”中進国”日本の軽機械工業は戦時生産が蓄積した機械技術、生産管理技術などを継承しつつ、外貨獲得産業として急速に成長した。産業政策の果たした役割は意外と小さかったが、不断の技術革新、技能者養成の努力に支えられて日本製品はまず最初にアメリカ市場でその地歩を確立し、それを前提に今度はヨーロッパ市場に参入した。 当初は軽機械工業においても中小企業が大きなウエイトを占めたが、マーケティング能力を持たない中小企業は次第に淘汰され、カメラや家庭用ミシンは大企業が優勢な地位を占めるようになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
軽機械工業の変貌過程に関する研究を通して、産業政策が効果を発揮する条件が明らかになった。産業組織政策は海外市場におけるマーケティング力を涵養する政策と結びつかないかぎりその効果が限定的であった。 カメラメーカーは当初アメリカのディストリビューターに依存する販売体制を余儀なくされていたが、そこからの脱却なしには高収益を望めないことを知ると、既存の販売体制との厳しい軋轢を乗り越えて直販体制を構築することに成功した。ミシンの場合はブランド売りが遅れるが、その一因としてはシンガー社という巨人の存在があった。名声を確立した商品に挑むことの困難さを家庭用ミシンは体現していた。
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