研究課題/領域番号 |
19K01814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
青木 克生 明治大学, 経営学部, 専任教授 (20318893)
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研究分担者 |
Olcott George 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (80751552)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 日本的経営 / 国際化 / グローバルイノベーション / 知識移転 / 人事管理 / 海外駐在員 / 多国籍企業 / パラドックス / bounday spanning |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,パラドックス・パースペクティブを採用することで,多国籍企業における双方向知識移転に伴うパラドックスをマネジメントする方法とメカニズムについての独創的な知見を発展させて行くことを目標としている。自動車や電機産業などから日本の代表的な多国籍業をピックアップし,その日本本社と海外子会社の双方においてインタビューや工場観察を通してデータを収集する。収集されたデータはコーディングなど定性的手法を用いて分析し,先行研究との相互作用を通して理論構築を行う。調査のアウトプットは国際学会やジャーナルへの投稿を通して公表していく。
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研究実績の概要 |
2022年度は,夏以降コロナウィルスの制約が改善されてきたため,国際学会への参加や国内・国際調査を実施することが可能となった。 国際調査としては,9月にトヨタ北米5工場(ケンタッキーエンジン工場,ウェストバージニアエンジン工2022年度は,夏以降コロナウィルスの制約が改善されてきたため,国際学会への参加や国内・国際調査を実施することが可能となった。 国際調査としては,9月にトヨタ北米5工場に対する実態調査を実施した。ここでは三本柱活動を通した現地工場への権限移譲のあり方について知見を得ることが可能となった。11月にはトヨタタイエンジン工場で実態長を実施た。この調査では,三本柱活動を基盤としたローカルイノベーションの可能性について大きな知見を得ることが可能となった。さらに3月にはドイツにおいて実態調査を実施し,ZF,フォルクスワーゲン,ダイムラートラック,マーといった企業を訪問した。この調査を通して,日本的改善活動のデジタル化の可能性について知見を得ることが可能となった。 また日本国内では,デジタル化を通したイノベーションの展開という新しいテーマでの調査を展開している。デジタル化の動向について,日本は諸外国と比較すると後れを取っており,海外拠点からの知識の逆移転(reverse transfer)が必要とされている領域である。これについては,特にダイムラーふそうでインタビューを実施し,大きな知見を得ることが可能となった。 研究成果の出版という点においては, How outsiders promote organizational change: Active mediation in adaptive sensemakingと題する論文がAcademy of Management Meeting, 2022で報告がなされている。さらにOperational foundation for TPS implementation: Toyota’s Three Pillar activityと題する論文がAcademy of Management Meeting, 2023でアクセプトされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究進捗状況については,「おおむね順調に進展している」との判断が妥当であろう。昨年度まではペンディングとなっていた海外実態調査を2022年度は3回実施することが可能となっている。日本でもダイムラーふそう川崎工場,ダイハツ京都工場へと訪問したほか,元トヨタ上郷工場現場監督者に対するインタビューも実施されている。これら調査を通して,当初予定していた実態調査を通したデータ収集を積極的に進めることが可能となった。 研究成果の出版につては,さらにVisualization of incompleteness: How do artifacts facilitate organizational transformation?と題する論文がOrganization Scienceの査読後の書き直しとしてサブミットされ,現在2回目の審査の下にある。またStrengthening the operational foundation for sustainable TPS implementation: Toyota’s Three Pillar activityと題する論文がJournal of Operations Managementへと投稿され,現在審査の下にある。さらに現在は,Politics and boundary work at multinational companies: Knowledge sharing at Japanese manufacturing companiesと題する論文をOlcott氏と共同で執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は延長継続最後の年となるが,計画に従って,a.理論概念の発展,b.海外子会社と日本本社への実態調査,c.研究成果の公表,の3つに焦点を当ててみていく。 aについては,引き続きOrganization Science, Organization Studies, Journal of Management Studiesなどから関連論文をピックアップし,多国籍企業における知識移転についての理論動向の包括的な整理を進めていく。本年度は,多国籍企業における知識移転におけるコミュニティの役割に焦点を当てつつ理論を発展させていく。コミュニティはローカルイノベーションの発展への原動力として大きな役割を果たす一方で,ローカルイノベーションを異なるコミュニティ間で共有する際には障壁ともなりうる。このようなコミュニティの二重の役割に注目しつつ理論研究を進めて行く。 bについては,最終年度としてこれまで訪問してきた企業を再訪問し,その後の発展や新しい動向について調査していく予定である。具体的にはトヨタUKを訪問し,コロナ後の新しい展開について調査を展開していきたい。またアジアでは,これまで訪問できなかったサニーのマレーシア工場や日立の中国工場などへの訪問を予定している。国内でもトヨタ,デンソー,JT,日本板硝子の本社へと訪問し,知識移転をベースとしたグローバルイノベーション推進の方法について調査を展開する予定である。 最後に,cについては,Politics and boundary work at multinational companies: Knowledge sharing at Japanese manufacturing companiesと題する論文を仕上げ,国際ジャーナルへと投稿していく予定である。
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