研究課題/領域番号 |
19K01933
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
玉田 俊平太 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (60312790)
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研究分担者 |
池田 新介 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (70184421)
岡田 克彦 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (90411793)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | オープンイノベーション / インバウンド / アウトバウンド / オープン・イノベーション / 資本資産評価 / インバウンド型オープン・イノベーション / アウトバウンド型オープン・イノベーション / イノベーション / 特許 / 多角化 / 選択と集中 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては、過去には「一つの企業が全ての技術を自前で開発して『範囲の経済』を追求するメリットがあったが、情報通信技術の発展、なかでもインターネット利用の民間開放によってその効果が薄れ、逆に『選択と集中』によって得意分野の技術開発に経営資源を集中し、他企業とコラボレーションして新しいプロダクトやサービスを開発するオープン・イノベーション戦略の有効性が増大しているのではないか」という仮説を検証するため、企業の特許データから当該企業が技術の「選択と集中」を追求しているのかそれとも「範囲の経済」を志向しているのかを計測し、それぞれのポートフォリオの企業価値の推移を時系列的に計測して比較する。
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研究実績の概要 |
本研究では,オープン・イノベーションにおけるインバウンド型とアウトバウンド型という活動類型の有無が,企業の収益にどのような影響を与えるかを調査した.企業のオープン・イノベーション活動を把握するデータとして,文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が実施した「民間企業の研究活動に関する調査」アンケートの2008年から2018年の回答を用いた.分析の結果,インバウンド型オープン・イノベーションは企業の収益に対して有意にプラスの影響を示したが,アウトバウンド型オープン・イノベーションは企業の収益には影響を与えていないことが示された.これは外部の技術を積極的に取り込んで開発を実施するインセンティブが企業にあるのに対して,自社技術を積極的に外部に提供するインセンティブが無い,もしくは非常に弱いことを示唆している.すなわち,オープン・イノベーション活動を通じた生産性向上の課題として,企業が死蔵している技術情報の公開促進などの政策課題があることが示唆される. オープン・イノベーションのスキームが経済全体として一層機能するためには,技術情報の流通が円滑に行われ,需給がバランスする必要がある.そのためにはアウトバウンド側からの技術情報の提供が重要と考えられるが,本研究の結果は,特許制度による強制的な情報公開を除くと,アウトバウンド側の自社技術公開のインセンティブが乏しい実態を示唆している.アンケート結果で示されている,インバウンド活動を行っている企業が全体の約6割にのぼるのに対して,アウトバウンド活動を行っている企業の比率が3割半ば程度にとどまっている理由は,本研究で示された,アウトバウンド側のインセンティブの低さが原因ではないかと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定されていたデータの入手、統計処理、論文の執筆、査読・掲載などが無事完了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後,オープン・イノベーション活動を通じた生産性向上の課題として,大学や公的研究機関などの知の創造を行っているアウトバンド候補機関における研究開発成果の一層わかりやすい情報公開の促進や,企業が死蔵している技術情報の公開促進,インバウンド側企業とアウトバウンド側企業のマッチング機会を促進する仕組みづくり,オープンイノベーションを行う企業への税制優遇措置などの政策課題があることが示唆される.
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