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新地方公会計と監査委員監査を内包する日本型地方自治体内部統制フレームワークの構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K02031
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07100:会計学関連
研究機関関西学院大学

研究代表者

石原 俊彦  関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (20223018)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
研究課題ステータス 交付 (2019年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード監査委員監査 / 内部統制 / リスクアプローチ / 地方自治法第150条 / 全国都市監査委員会 / ガバナンス / リスク・マネジメント / 行財政改革 / 監査 / 地方自治体 / マネジメント
研究開始時の研究の概要

本研究は、地方自治体内部統制の構築に関する関係者の誤解を解き、自治体が現在取り組んでいる主要な行財政システム改革の手法を、国際標準であるCOSO (トレッドウェイ委員会支援組織委員会)の内部統制フレームワークに組み込んで、わが国地方自治体の現況に合致する「日本型」地方自治体内部統制のフレームワークの構築を企図するものである。本研究課題の核心をなす学術的「問い」は、自治体で推進されている行財政システム改革は、地方自治法第150条が求める内部統制の目的を実現する内部統制の構成要素であり、それらをいかにCOSO内部統制のフレームワークに関連付けて有機的に体系化するか、という点にある。

研究実績の概要

地方自治法第150条の改訂を受けて、日本全国の自治体では、内部統制の構築に着手する動向が顕著になってきた。特に、2020年度から本格的な内部統制体制の推進とその評価が義務付けられる都道府県と政令市においては、その傾向が顕著である。また、中核市においても、たとえば、兵庫県西宮市のように、内部統制の構築を行財政改革の基軸として位置づけて、組織として本格的に対応する自治体も増えてきた。
内部統制と深い関係を常に有しているのが、監査委員監査である。監査委員が実施する例月現金出納検査、財務の定期監査、決算書審査、地方財政健全化法における健全化指標の審査は、自治体の内部統制の有効性を斟酌して監査計画を立案し実行することで、より効率的で効果的な実施が可能になる。リスクアプローチ監査と言及されるこうした監査手法の展開は、内部統制と融合して構造化することで、大きな発展が期待されると考えられる。
本研究は、以上のような論点整理を行い、具体的な内部統制とリスクアプローチ監査委員監査の実態を調査する段階にまで進展している。この実態調査では、日本全国の自治体で監査委員、監査委員事務局、内部統制担当部署などを対象に、ヒアリング調査・アンケート調査・インタビュー調査を行うことで、研究成果が期待される。
しかしながら、これらの実務を本格的に実践できる自治体は研究2年度目に該当する令和2年度においても、それほど大きな数になると期待できない状況にある。わが国自治体における実際のアクションは令和3年度において、本格的になると予想される。よって、本研究では、研究初年度に解明された上記の認識を基礎にして、監査や内部統制の学術文献による調査研究を、研究二年度には中心的に実施するものとする。
初年度の研究は、こうした文献研究に資する文献を発掘するに必要な研究課題や研究目標を明確にするものであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

総務省の内部統制と監査委員監査のこの約10年間における改革案作成の一連の経緯と、その過半に第30次地方行政調査会の委員等として参画した研究代表者の経験から、総務省が自治体に求める行財政システム改革は「内部統制構築の目的」との関連で、4つの大きなカテゴリーに基づく分類が可能であることが論証された。また、内部統制の構築で看過してはならないのが、事実上の内部監査として内部統制の一部を構成している監査委員監査(その内部監査性については、公認会計士等による包括外部監査が存在し、関係者の多くも監査委員監査を内部監査と位置づけている現状がある)についての考察である。本研究では、すでに監査委員監査を内部統制の重要な構成要素である内部監査と密接に関連付けることの妥当性の検証にも成功しており、今後は、自治体の行財政システム改革の諸取り組みを、自治体における内部統制の構築と有機的にどう結合するかを中心に検討することが可能であると考えられる。
本研究は当初、次のような研究計画を立案していた。すなわち、令和元年度の目標-新地方公会計改革を中心とした行財政システム改革の再検討。令和2年度の目標-監査委員監査改革を中心とした行財政システム改革の再検討。令和3年度の目標-自治法第150条を巡る内部統制の諸問題の検討-行財政システムの視点。令和4年度の目標-本課題研究のまとめと日本語による研究成果の出版に向けた作業。
初年度(令和元年度)は、当初の計画では、初年度と2年度目に集約することを目標としていた事項について、論理の妥当性を検証することができた。
この理由から、本研究では、当初計画よりも約一年分早く、一連の研究成果が生み出されているため、研究の進捗状況は、当初の計画を上回って順調である。。

今後の研究の推進方策

本研究においては当初の研究目的に沿って、地方自治体の行財政システム改革における主要な取り組みを、内部統制の4つの目的(「業務の有効性と効率性」「財務報告の信頼性」「資産の保全」「法令等の遵守」)と、6つの構成要素(「統制環境」「リスクの評価と対応」「統制手続」「情報と伝達」「モニタリング」「ITへの対応」)から構成される、4行×6列の「行革内部統制マトリックス」(仮称)に格納し、その全体を鳥瞰する方法で、論理的・実務的に考察を加えて、一定の結論を導出しようと試みるものである(注:総務省が推奨する内部統制の構成要素はERMに言及する2004年/2017年のCOSO以前の内容を基礎としている)。
結論としてのマトリックスの作成では、行財政システム改革の具体的な手法の実態調査を踏まえ、COSO等の内部統制フレームワークとの整合性に留意する。例えば、新地方公会計や監査委員監査は、いかなる理由で内部統制の目的と構成要素の要件に合致するのかを、相当数の自治体における実態調査と理論的な考察で解明する。また、24個のマトリックスで空欄が生じる箇所(例えば、「モニタリング」と「リスクの評価と対応」の交差するセルで空欄を予見している)には、その理由を解明し空欄が存在することの理論的な妥当性を検討する。
加えて、令和2年度以降の研究の推進において、このマトリックス形式の結論の集約には収まり切れない学術的な内容が発見された場合には、別途、その開示方法について検討する。内部統制とガバナンスの関係、さらには、リスク・マネジメントとガバナンスの関係など、本研究の推進においてより深化した学術的考察が求められる可能性のある概念もすでに散見されており、研究第二年度はこうした諸概念の考察についても、その必要性を慎重に検討して、本研究全体の集約を行うものとする。

報告書

(1件)
  • 2019 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2021-01-27  

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