研究課題/領域番号 |
19K02695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
柚木 朋也 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00311457)
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研究分担者 |
藤枝 秀樹 国立教育政策研究所, 研究企画開発部, 教育課程調査官 (20741705)
並川 寛司 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (90192244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 植物検索 / ベイズ推定 / 検索プログラム / APG分類体系 / アブダクション / 探究 / 教材開発 / 探究の過程 |
研究開始時の研究の概要 |
植物検索は,探究の過程とよく似ており,様々な資質・能力の育成に役立つ。ただし,生徒や教員の植物に関する知識が希薄であるという現状のもとでは,使いやすい植物検索教材の開発が必須である。本研究は,種々の実態調査,新しい分類法(APG分類体系)への対応,適切なデータの選択などの検討を行い,ベイズ推定(観察事実から植物名を確率的な意味で推論する)を利用することにより,優れた植物検索教材の開発を行う研究である。
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研究実績の概要 |
植物検索は,これまで「植物名を知る」という結果のみに重点が置かれてきた傾向がある。しかし,検索の過程は,科学的探究の過程とよく似ており,様々な資質・能力の育成に役立つことが考えられる。ただし,児童,生徒や教員の植物に関する知識が希薄であるという現状のもとでは,すぐれた使いやすい植物検索教材の開発が必須である。加えて,新しい分類体系(ミクロなゲノム解析から実証的に構築したAPG分類体系)を基にした図鑑や植物目録などの資料が増加し,APG分類体系と古い分類体系との整合性が課題となっている。それらの課題を解決するために,本研究では,学習者が主体的に使用し,検索の過程を通して様々な資質・能力を育むことができるように,ベイズ推定を利用した植物検索教材を開発することを目的とした。 本研究では,「どのような検索方法を取り入れればよりすぐれた検索教材が開発できるのか」を模索するために,検索の過程を探究の過程に基づいて分析し,検索に必要な課題について整理した。検索においてはアブダクションが重要であり,多くの候補となる植物名の中から候補となる植物名の絞り込みをいかに行うかについてはベイズ推定を用いたプログラムの開発が有効であると考え,着手することとした。ベイズ推定を行うためには,事前確率の設定が必要である。そのため,地域性や時期を考慮した事前確率の調査を行い,事前確率の設定について検討した。また,分類形質について検討し,よりよい検索教材を作成するための選択項目の策定を行った。加えて,植物の地域性,時期なども考慮した結果を事後確率として表示し,並び替えることを組み込んだプログラムの充実を図った。 このようにして作成したプログラムを使用した授業を大学において実践し,課題を洗い出し,改善を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は,検索の過程についての考察とベイズ推定を行うための基礎調査を行った。また,種々のデータの作成と試作プログラムの作成を行った。また,主となる約450種の植物データを作成するなど比較的順調に進んだ。 しかし,コロナ禍の影響で学校現場などでの調査ができなかった。計画を変更し,2年度,3年度は主として種々のデータの作成に力を入れたが,広域でのデータの収集ができず,調査があまり進まなかった。 4年度は,プログラムの改善,データのさらなる充実を図る(約580種)とともに,学校現場での実践を試みた。しかし,広域的なデータの収集が十分にできなかった。また,大学生を対象とする実践は実施することができたが,小,中学校での実践はできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,前述した目的を達成するために計画を変更し,次の2点を中心に研究を進める。 1.5年度は,植物検索教材の制作のための調査・研究(ア 植物の実態調査,イ 学習者の実態調査,ウ 検索項目の再検討,エ 登録データの検討,オ検索方法の検討)を引き続き行う。小・中学校,大学,公園,道端,河川敷などで植生調査を行うとともに,やや特殊な環境で育つ植物についてもさらなるデータの収集を行う予定である。特に,基礎データの充実と広域調査に重点を置きたいと考えている。 2.重点的に行いたいのは,プログラムを学校現場で使用した授業研究である。1~4年度の調査に5年度の調査を加え,ベイズ推定に必要な事前確率,尤度の設定を行い,札幌市内の小・中学校で使用できるプログラムを完成させ,実践を行う。この実践をもとに指導法の開発,実践を行い,プログラムの有効性を検証したいと考える。
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