研究課題/領域番号 |
19K02783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
松本 伸示 兵庫教育大学, その他部局等, 名誉教授 (70165893)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 教職大学院 / 学修の成果としての報告書 / 理科教育学研究 / テキストマイニング / 質的データ分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、教職大学院における教科教育学的研究の実態を明らかにし,同大学院に提出される学修の成果としての報告書が従来の修士課程における修士論文を補完し、さらに発展して教科教育学研究となり得る潜在的な可能性を探るものでする。特に、申請者が専門とする理科教育分野での動向に焦点化する。 申請者は、これまでに先発して設置された教職大学院について,教科教育学的視点からテキストマイニング法等を用いて構造分析を行ってきた。本研究では、これまでの成果を踏まえつつ、近年,教科内容学的要素も取り入れて設置が進む同大学院について,教科内容面も視野に入れた質的データ分析法等も用いて,さらに踏み込んだ分析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、教職大学院における教科教育学的な研究の実態を明らかにし、同大学院に提出される学修の成果としての報告書(以下、実践報告者)が従来の修士課程における修士論文を補完し、さらに発展して教科教育学研究となり得る潜在的な可能性を探るものである。2022年度も全国の教職大学院における理科教育関係者の所属状況や所属大学院生の研究動向を現地調査や学会発表等で調査してきた。 本年度は、前年度までに収集した教職大学の理科関係の実践報告書107編と黎明期の同報告書56編とを比較分析した。近年、大学院改組によって教職大学院を取り巻く環境も大きく変化してきている。そこで、同大学院における理科教育関係の教員数に着目して変化の様相の一端を明らかにした。 近年の大学院改組によって、教職大学院における理科関係者の数は大幅に増え、10人以上の教職大学院は10校を数える。また、収集した実践報告書107編(13教職大学院)を理科教育学会の研究発表区分で分類した。その結果、化学や生物などの分野の教材開発に重点を置いた研究が増えていることが明らかとなった。さらに、STEAM教育やICT活用など近年の世界的な動向と対応した研究が行われていた。 実践報告書のテキストマイニング分析では、従来から抽出されてきた「授業」や「実践」などのキーワードに加えて、「教材」や「高等学校」などが上位に上がってきている。また、キーワードを繋ぐ構造としては、従来からの「実践」-「授業」を中心にした構造に加えて、「教材」-「開発」、あるいは「高等学校」-「実践」の構造を読み取ることができる。 最終年度では、新たに改組を終えた教職大学院と従来型の教職大学院における実践報告書をさらに掘り下げて分析し、研究を総括する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、これまでに収集した実践報告書の分析を進めてきたが、コロナ化で現地での報告書の収集や直接大学院生へのインタビュー調査は難しかった。ただ、前年度より現地調査することができた大学院数は増えた。また、教職大学院の最終報告会が遠隔での開催となったところが多かったため、日程が重なって物理的に参加が不可能であった報告会への参加が可能となる利点もあった。 さらに、今年度の実践報告書の収集では、令和元年度に大学院改組をして3年分の修了生を出している東京学芸大学、兵庫教育大学、大阪教育大学などの先発組に加え、新たに令和3年度に改組した北海道教育大学、茨城大学、埼玉大学、横浜国立大学、滋賀大学などからも実践報告書を収集することができた。収集できた実践論文数は研究を開始した時点で予想より遥かに多くのものとなった。 現在、それらの報告書を分析するとともに、これまでに収集した実践報告者のデータベースに追加収録しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、研究の最終年となる。これまでに収集した実践報告書の分析を完了するとともに、来年度、新たに改組後の修了生を出す愛知教育大学、宮城教育大学、奈良教育大学、上越教育大学などの教職大学院の実践報告書についても収集する予定である。 特に、新構想大学院と呼ばれた上越教育大学、兵庫教育大学、鳴門教育大学の改組がすべて終了し、実践報告書が出そろうことになる。また、理科関係者が20人を超えるような愛知教育大学、東京学芸大学、北海道教育大学、静岡大学など、従来の教職大学院の組織とは異なる大学院における実践報告書にも注目して分析していく。 来年度は、これらの分析を完了して研究の総括を行う。
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