研究課題/領域番号 |
19K02901
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
加藤 かおり 国立教育政策研究所, 生涯学習政策研究部, 総括研究官 (80323997)
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研究分担者 |
沖 裕貴 立命館大学, 教育開発推進機構, 教授 (50290226)
杉原 真晃 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (30379028)
勝野 喜以子 (松本喜以子) 成蹊大学, 経済学部, 教授 (90316935)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Constructive Alignment / 大学教育開発 / FD / 高等教育 / OBE / Faculty Development |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ビグス(John Biggs)によって提唱された教授学習理論である「教育構成の整合(Constructive Alignmentの仮訳)」の理論に焦点をあて、①その理論の大学教授学/大学教育開発上の意義に関する理論研究、②同理論を踏まえた学習成果基盤型の大学教育の実効化を促すFDプログラム及び教育プログラム検証モデルに関する開発的な実践研究、③これら二つの側面を往還して行う日本の文脈への適合のための課題分析の三つの観点から調査研究を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、ジョン・ビグス(John Biggs)が提唱する教授学習に関する「教育構成の整合(Constructive Alignmentの仮訳、以下CA)」の理論について、①大学教授学上及び大学教育開発上の意味を明らかにすること、②その意味に基づくFDプログラムの実践モデルを開発すること、③その理論と実践を往還する分析を行い、日本の大学教育の文脈における理論と実践の適合の要件及び課題を明らかにすることを目的とし、①「CA」の理論研究、②主に海外の事例におけるCAモデルの大学教育開発の実践研究、③①と②を往還する分析と考察の三つの方法で進めることとしている。 本年度は、方法①について、全研究メンバーで「CA」に関わる主要な用語訳の最終確定を行うとともに、翻訳原稿を基に理論内容の明確化に努めた。②について、主に英国インペリアルカレッジロンドンにおける「CA」を用いた新任教員向けワークショップへの参加と実施担当者へのインタビュー調査、及びCA理論に詳しい教育心理学の専門家でもある教育開発者へのインタビュー調査を行った。結果として、英国においてはCAが大学教育プログラムの質管理の必須要件となっていること、CAは今や大学教育の「原理(principle)」と見なされていること等、その意義についての有益な情報の他、新任教員レベルで可能なCA理解共有の現状、学部学科長レベルでの取組の重要性など、目的③に関わる新たな知見を獲得することができた。 加えて、分担者の杉原は、教養教育の学習成果として求められる「自律的学習」の基盤となる「学習の必要性の診断」「学習プランのデザイン」「批判的な考慮」(Fink,2011)が、サービス・ラーニングにおける教授学習活動と整合性(alignment)を高く持つことを実践研究から明らかにし、その成果を第30回大学教育研究フォーラムにおいて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、研究実施計画にあるように設定した研究期間に、①「教育構成の整合(仮訳)」理論(以下CA理論)の理論研究、②CAモデルの大学教育開発の実践研究、③①と②を往還する分析と考察の三つの方法で進めることとしていた。この計画のうち、本年度は、前々年度及び前年度に実施する予定でありながらCOVID-19の感染症拡大の影響を受けて遂行することが困難となっていた②のCAモデルに関する大学教育開発の実践研究の部分について、特に海外の大学におけるFDプログラムの事例研究を実施することが最も優先すべき予定であった。 しかしながら、その予定の実行について、COVID-19感染拡大の状況は前年度に比べ回復してはいるが、主な調査方法である海外出張の実施について、訪問予定先である欧米における、特に対象となるプログラムの実施方法変更等の回避しがたい影響を受けてその実行が部分的となった。そのため、全体的には前年に比較して遅れを取り戻しつつあるものの、特に海外事例調査の計画の部分における進捗状況にやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、研究期間を1年延長し、引き続き研究実施計画で当初計画していた①「教育構成の整合(仮訳)」理論(以下CA理論)の理論研究、②CAモデルの大学教育開発の実践研究、③①と②を往還する分析を進める。 特に、研究計画実行の中で遅れている部分である海外の大学におけるFDプログラムの先行事例研究を優先的に実行し、その研究成果(計画②)と、これまでに蓄積してきた理論研究(計画①)での成果をもとに、実践的なアプローチでの課題分析(計画③)を進める予定である。海外事例研究及び国内での実践研究については、引き続き今後の国内及び諸外国の状況や各国の海外渡航方針や各機関の方針などに十分配慮しながら進めることとする。
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