研究課題/領域番号 |
19K03042
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
|
研究機関 | 岐阜市立女子短期大学 |
研究代表者 |
服部 宏己 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 教授 (50510476)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 建築構造設計 / 教育 / 可視化 / 塑性領域 / デジタル画像相関法 / 建築構造教育 / 弾塑性 / 実験ツール / CAIシステム |
研究開始時の研究の概要 |
建物の耐震性を学ぶ上で、建物架構に生じる応力分布の理解が最も重要となるが、苦手意識を持つ学生が多いことから、視覚的・体験的に理解できるツールを開発する。これまで行ってきた弾性領域の静的な挙動に加え、新たに塑性領域や地震時の挙動を可視化できるツールを開発することを目的としている。その方法として、デジタル画像相関法(デジタル撮影された微小な変形画像を比較することによって、ひずみ量などを解析し分布を図化する技術)を応用する。これらの実験ツールに加え、PCを利用して数値的に設計法を理解するCAI システムの構築を試みる。両者を併用することにより、建築構造の理解を飛躍的に高めることが可能となる。
|
研究実績の概要 |
これまでの一連の研究により、近年開発されたデジタル画像相関法(デジタル撮影された微小な変形画像を比較することによって、ひずみ量などを解析し分布を図化する技術、以下DICという)による画像解析値とFEM解析値とを比較し、両者の間に比較的良い相関性があり、DICを構造教育ツールに適用することが可能であることを明らかにしてきた。昨年度(令和3年度)は、実際の建築構造物で扱われる鉄筋コンクリート(鉄筋とコンクリートの複合材料)を想定し、2液性の樹脂材を母材(コンクリートを模したもの)に、アクリルを模擬鉄筋として設置した試験体を用いて、鉄筋コンクリート造を対象とした教育ツールの適用性について検討を行い、RC造の教育ツールにもDICを適用することが可能であることを示した。 しかしながら、試験体が小さく、模擬鉄筋内部のひずみ分布の画像が不明瞭であったため、今年度(令和4年度)は、試験体サイズを2倍(高さ:40, 80, 160mm、長さ:360mm(支点間距離:320mm)、奥行き(厚さ):20mm)にして実験を行った。実験方法はこれまでと同様に単純梁形式とした架構の中央に集中載荷し、弾性範囲に加えて模擬鉄筋の破断時についても検討を行った。 その結果、以下の知見を得た。 1) 鮮明なDIC解析画像を得るには、ある程度の大きさのひずみ(0.001程度)が必要であると思われる。2) 高さ160㎜試験体において部分的にDICによる解析結果が得られなかった原因として、試験体の厚さが薄く前後面のゆがみ差が生じたためと思われ、ある程度の試験体の厚さを確保する必要があろう。3) 試験体サイズを大きくすることにより、試験体全体および模擬鉄筋内部の破断時の様子を含め、詳細に検討することが可能であると考えられる。 これらの結果をまとめ、2023年度日本建築学会大会(近畿)学術講演梗概集に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度の研究計画では、最も基本的な建物架構の試験体を作成し、振動台を用いた動的載荷実験を行い、応答性状について、DICによる画像とFEM解析による画像との比較検証を行うこととしている。また、令和4年度の計画では、CAIシステムの開発を行うこととしている。 令和3年度までの研究実績では、動的の検討を行う前に、実際の建築構造物で扱われる鉄筋コンクリート(鉄筋とコンクリートの複合材料)においても検討し、DICの適用が可能であるかを示した。しかしながら、構造設計の要となる鉄筋内部の詳細を検討する必要があると考え、令和4年度は、試験体サイズを2倍にして、試験体全体および模擬鉄筋内部の破断時の様子を含め、詳細に検討することが可能であることを示したが、教育ツールを制作する上で新たな問題点が明らかとなった。その代表的なものとして、これまでの実験ではDICソフトの性能からひずみ分布を扱ってきたが、構造設計で必要となる応力分布での確認ができていない。加えて塑性範囲での応力分布のDICによる妥当性を示すまでには至っていないことを挙げ、これらは今後の課題として提示した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの実験では、DICによりひずみ画像の適用性について明らかにしてきたが、応力の分布画像についての検討には至っていない。一方で、DICソフトの開発を進め、応力分布を表示が可能となったことから、令和5年度は、これまでの実験画像に対して、応力分布を対象に比較検討を試みる。まずは、基本となる弾性範囲での検証を行い、その妥当性が示された後、塑性範囲での検証を試みる。また、模擬鉄筋内部の応力の分布を主眼においていることから、弾性および塑性の両面での詳細な検討を試みる。これらの静的載荷時の弾塑性時の挙動が明らかになった後に、動的載荷時の構造教育ツールの開発に繋げることができるものと思われる。
|