研究課題/領域番号 |
19K03145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 帝京平成大学 (2022) 鳴門教育大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
金児 正史 帝京平成大学, 人文社会学部, 教授 (00706963)
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研究分担者 |
土田 理 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (10217325)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
佐伯 昭彦 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60167418)
川上 貴 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (90709552)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 数学科と理科を総合する教育 / 教材研究 / 教師教育 / 教員研修 / 教材開発 / 理科と数学を総合する教育 / 校種を超えた教員の研修 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,異校種の学習内容を見通しながら,体系的に両教科を総合する教材と学習指導案を提案して実践授業とその検証を行うこと,児童生徒が両教科で学んだことを活用して主体的に探究していく指導が行える教師教育を実証的に検証すること,である。研究期間内(平成31年度~平成34年度)では,① 教科書分析,教材開発と学習指導案の作成,② 実践授業の実施とその検証,③ 教師の資質・能力の特定,④ 数学科と理科を総合する教師教育の提案,の4つの研究項目を実行する。 特に,校種を超えた数学科と理科の教員がどのような資質・能力を獲得して学習指導することが有用なのか,実証的に明らかにすることが目的である。
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研究実績の概要 |
研究代表者らによる教師教育実践とその研究成果から,数学科と理科では,用語の共有化や指導内容の調和的な順序構成が積極的に考慮されておらず,児童生徒の総合的な数理的運用能力に限界があると考えている。また,校種や教科を超えた数学科と理科の教師を対象とする定期的な勉強会を通じて,学習指導内容を相互理解することの重要性も明らかにしてきた。そこで本研究では,数学科と理科の総合的な理解力を持つための教師の資質・能力向上の方策を探究している。2022年度も前年度までに研究代表者らが確認した,本研究の目的と研究方法は変更していない。しかしながら2019年度から引き続いているコロナ禍にあって,対面での教材開発や議論の場は,少人数での研究代表者と研究分担者の会議で行うことにとどまり,あとはオンラインやメールでの情報共有にとどまっている。オンラインによる会議には少しずつ慣れてきているものの,開発教材の議論やその活用の情報交換が十分に行えないことから,情報共有が限定的になっている。 それでも,オンラインによる日本科学教育学会第46回年会愛知大会で,三角比を利用した飛行機の高度を探究するための小中学校での学習事例について発表したり,化学反応速度や単振り子の高等学校での学習の題材と授業案作成の吟味などを,研究分担者と対面で議論することができた。また,2023年度に向けた授業実践校のめども立ち,授業実践のための数学科や理科の教員との検討会も実現できる段階にきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者らによる,数学科と理科を総合する教育実践の先行研究によれば,関連する学習単元が小学校から高等学校の異校種にわたって,しかも教科の枠を超えて各教科・科目で指導されていることが空き落下になっている。例えばモーメントに関する指導をとりあげると,小学校6年生理科で学習するてこのはたらき,高等学校の物理基礎や物理で学習する剛体に働く力,支点に働く力に着目した中学校数学で学習する反比例などがあげられる。 モーメントに関する指導などのように,校種や教科の枠を超えて,異なる専門性を持つ教員が議論して指導の実態を知り,使える智を共有していくようになれば,学習者は非常に有意義な学びを得ることができ,主体的に学びを推進するようになることが期待される。こうした教材開発については,2020年度も前年度までと同様に,研究代表者らや一部の研究協力者の教員とともに吟味することができて,コロナ禍をついて実践することができた三角比を利用した飛行機の高度を探究するための小中学校での学習事例を実現することができた。 その一方で,研究代表者ら全員が対面で会合を持つことは実現できず,本研究に係る教員研修のための方策については,具体的に一般化できずにいる。実践授業を通じて見いだされる教師の力量の必要条件や十分条件が明確にできないからである。 このように教材開発と学習指導案の作成は,現場教員との打ち合わせ直前の段階まで進捗しているものの,教員研修の具体的な位置づけは明確にできないままであり,この点が本研究の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は1年間の研究延長が認められ,授業実践の許可が学校管理者から得られそうな状況下で,実践授業のための研究代表者らと学校現場の教員との議論を行ったうえで授業実践することが見込める段階になってきている。現在のところ,鹿児島県と埼玉県の高等学校での授業実践が見込まれている。2023年度が最終年度と位置付け,数学科と理科を総合する授業を実現する教師教育の条件を見いだしたいと考えている。そのため,現在は研究代表者と一部の研究協力者との議論を経て,授業を実施する化学や物理の高等学校教員が,教材の意義や授業目標を的確にとらえて授業実践できるかどうかを,実践事例を通して明確にしていく予定でいる。
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