研究課題/領域番号 |
19K03199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
高橋 尚也 立正大学, 心理学部, 教授 (10581374)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | adultism / empowerment / 親子関係 / 心理的エンパワメント / Adultism / 放課後プログラム / コミュニティ / エンパワメント / 地域活動 / Adultsm |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、Adultismに焦点化しその克服を通して、市民の心理的エンパワメントを向上させるプログラムを開発し、社会実装することである。課題達成のために、基盤フェーズとして、従来の研究で不明瞭であったAdultism概念を確立するための調査研究を行い(研究1)、次に、シナリオ閲覧によるAdultismの変化可能性の検討を行う(研究2)。実装フェーズとして、Adultismに焦点化した心理的エンパワメント向上プログラム作成し、プログラムを実施し効果測定を行う(研究3)。最終的に、プログラムを公開しワークショップや討論を行うことで地域コミュニティへの実装を試みる。
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研究実績の概要 |
COVID-19の影響を受け、本年度当初に研究計画を大きく変更して本年度の研究を実施した。変更後計画の第1は、Adultismに対する親子の認知や、青年のAdultism認知を研究の核に据えて、Adultismの克服可能性を複数の横断研究から明らかにすることであった。第2は、フィールド調査に大きな制約が見込まれるため、プログラム実装よりも、学童クラブへのニーズ調査をもとにプログラム提案を目的とする研究計画に変更することであった。 このうち、本年度は青年のAdultism認知を研究の核に据えて、Adultismの克服可能性を複数の横断研究から明らかにするための研究を推進した。具体的には、80名の大学生を対象に青年のAdultism認知と親子関係との関連を調査し、オンライン上で、adultismを含むシナリオとそうでないシナリオの評定(各6項目)、親子間ストレスに関する尺度、および、親からの暴力被害数に回答を求めた。その結果、Adultismを含むシナリオがそうでないシナリオよりネガティブに評定された。また、Adultismを含むシナリオに対する肯定的評価は、親からの暴力被害経験や親への自己抑制的ストレスと負の有意な相関を示した。Adultismを含まないシナリオと有意な相関のある変数はなかった。また、前述の調査に回答した青年の保護者にもAdultism認知や親子関係について評価を求めたものの、回答数が14にとどまり十分な分析には耐えられないと判断した。 上述の青年を対象とした調査結果は、日本の青年において親との関係が良好であるほど、Adultismを見過ごしたり、無自覚だったりする可能性があると解釈することができ、昨年度までの地域と関わりのある青年ほどAdultismに寛容であるとの調査結果との整合性があった。文化的要因を含めこれからの研究実施上注目すべき示唆を含んでいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による遅延の影響は大きく、今年度当初に研究計画を変更したことで進捗したものの、いまだ遅れている状態であった。そこで、2023年度までの研究計画延長を行った。 また、横断調査を主軸にしたため、複数の横断調査を次年度並行させることで、変更後の研究計画の遂行は可能になると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度であることから、遅れを取り戻すために以下の3つを推進計画とする。 第1は、青年に対するAdultism認知研究を体系化するため、文化的自己観を含めて、Adultism認知と大人との関わりや親子関係との関連を検討する。このことにより、これまでの調査結果から示唆されてきた、日本においては、「親子関係が良好であるとAdultismに寛容」や「地域と関わりがあるとAdultismにも寛容」という、理論的にみると逆説的な結果の整理を行うことができると期待される。 第2に、本研究の計画変更後の第2目的である学童クラブへのニーズ調査を実施する。研究計画の変更に伴い、この学童クラブへのニーズ調査を最終目的として検討を行う。 第3に、東アジアでのAdultism認知と日本のAdultism認知との特徴を比較する調査を実施することである。
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