研究課題/領域番号 |
19K03250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
飯島 典子 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (40581351)
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研究分担者 |
池田 和浩 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (40560587)
小泉 嘉子 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (80447119)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 感情理解 / 感情推測 / 実行機能 / 幼児 / 絵本 / 幼児教育 / ひらがな読み / 視線分析 / 感情語の獲得 / 他者の感情理解 / 確信度理解 / 注意の制御 / 表情理解 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究から「気になる」子どもは他者の感情理解に困難さをもち、それが社会的適応に大きく影響していることが明らかになっている。そのため幼児期からの支援が求められるが、これまで他者の感情理解とその背景となる認知能力との直接検討はなされておらず、効果的な支援方法の検討も不十分である。 そこで、本研究は感情の言語的理解に着目し、その発達に影響を及ぼす因子を注意の制御、感情語の獲得、確信度理解と想定し、発達連関を絵本による読みきかせによって検討する。本研究は、感情理解の発達アセスメントの開発、絵本の読み聞かせによる支援プログラムの開発へと応用を目指している。
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研究実績の概要 |
5歳児を対象に①タブレットを用いた実行機能課題、②登場人物の感情選択課題、③登場人物の適切な表情の選択注視について課題を実施した。①と②は同じストリーリーを用いて異なる測定を行った。①は表情(感情)を複数提示し文脈に相応しい表情(感情)を選択するよう求めた。②は感情についての言及はなく同時に2つの表情を提示し、どちらを長く注視するか測定した。その結果、同じ場面であっても幼児は①の選択肢とは異なる感情を②で推測している場面があった。その理由は状況の一般的な理解ではなく幼児の経験から感情推測が行われていることが関係していると考えられた。 ②表情の選択注視課題はopen faceで分析可能データを得るための絵本動画を作成することができた。しかし、open faceの視線データは幼児の姿勢に大きく左右され、動画視聴中に幼児の向きが変わるため十分なデータを得ることができなかった。そのため、分析にあたっては、①②③の全てデータが揃ったケースではなく、①と②、①と③それぞれの関連について検討することとした。データ収集時期の関係から分析の発表は2023年度を予定している。 また感情を描写する絵本の繰り返し読みを5歳児クラスで行った。絵本の内容と関連する再現性のある遊びや日常的な会話で類似した表現の確認は、もともと絵本に関心のある子どもにとっては多くみられたが、支援を必要とする感情理解の乏しい子どもについてはみられなかった。絵本を集団に向けて読み聞かせたため、支援を必要とする幼児に合わせた読み方ができなかったことが関連していると思われ、感情理解の発達支援において絵本を効果的に活用するには個別の対応が望ましいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象児のクラス担任に対し「幼児の感情表現と行動特性に関する調査」を実施し、その評価得点から、感情理解に支援を必要とする「気になる」子どもの抽出を行った。 本研究では、感情の言語的理解の発達に影響を及ぼす因子に関わる課題として、注意の制御課題、感情語理解課題、確信度理解課題を計画していたが、これらは幼児への個別の調査を必要としていた。そのためコロナ禍が長期に渡り保育現場での調査が研究開始当初から難しく実施できない状況が続いていた。しかし、2023年1月-2月に予定していた全ての個別調査を実施できたことで計画通りの進展となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に則って研究を推進し、2023年度は収集データの分析を通して研究を一層深めつつ、一般化の可能性を検討する。加えて、保育者および小学校教員を対象とした現職者研修を計画しており、本研究から得られた知見から保育指導法および支援方法への応用を広めていく。その上で、5年間にわたる研究成果を体系的に整理し、研究書(複数)に取りまとめ発表する。
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