研究課題/領域番号 |
19K03289
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
日高 友郎 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70644110)
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研究分担者 |
鈴木 祐子 (佐倉祐子) 東京医療学院大学, 保健医療学部, 准教授 (90791830)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | deep experiencing / 記号 / ライフ / 自己 / 迷惑施設 / 構造的喪失 / 故郷喪失 / 希望 / 文化心理学 / 構造 / 構造的暴力 / 地域愛着 / 質的研究 / 災害心理学 / 意味づけ / 多職種連携 / 地域 / 復興 / ナラティブ / 居住福祉 / 複線径路・等至性アプローチ / 混合研究法 / 故郷喪失者 / 心理支援モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、故郷喪失者に対する多職種連携に基づいた心理支援のモデルを提示することである。福島県においては、自らの土地を放射性廃棄物の中間貯蔵施設の建設のためにやむなく提供し、故郷喪失の心痛のさなかにある人々が多数存在している。しかし、そもそも「自分の土地に中間貯蔵施設が建設されるということは、どのような経験なのか」という点は未だ明らかになっていない。本研究では、①天災と人災が綯い交ぜとなった複雑な被災経験に寄り添い、時間的経過の中で変容していく地域愛着と支援ニーズを明らかにするとともに、②支援専門家の役割を具体化した「多職種連携支援モデル」として提示する。
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研究成果の概要 |
放射性廃棄物の中間貯蔵施設建設による故郷喪失の経験は、「ふるさとの構造的な喪失」と形容すべきものであった。これまでにない経験(deep experiencing)であり、自己の中のライフ(生命・生活・人生)と時間の繋がりが損なわれている状態であった。福島県大熊町民らは中間貯蔵および最終処分を「他の地域・自治体の問題でもある」と位置付け、広く議論を喚起することを求めていた。「最終処分場となることは避けたい」という願いの一方で、放射性廃棄物の集中保管原則ならびに再生利用・最終処分場の受け入れ検討地における住民の反対も切実である。このジレンマの解消が求められる状態にあると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、記号論的文化心理学の諸概念を用いて、実際的な社会問題の解決あるいはその基盤となる示唆の獲得に寄与したことにある。故郷喪失は人間の経験する苦痛の中でも極めて激しいものの一つとされるが、本研究の成果はその内実について「自己の中のライフ(生命・生活・人生)と時間の繋がりが損なわれている状態」として心理学的な定位と接近を行った。 社会的意義は、「中間貯蔵施設の建設による故郷喪失」という事態が進行していることを発信するとともに、その対策について他・多分野との連携の中で検討した点にある。復興の陰でむしろ故郷喪失が進んでしまった福島県大熊町民の現状を社会に向けて発信する機会を構築できた。
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