研究課題
基盤研究(C)
筋強直性ジストロフィータイプ1患者のQOL低下の主要因と考えられる過度の疲労感とその関連要因を、生体情報のデータと評価尺度の分析から解明する。そして、体重のコントロールや適度な運動を実践することで、疲労感の低減と睡眠障害の改善をはかり、ヘルスケア行動を促進するプログラムを開発する。本研究の独自性は、これまで測定が困難であったDM1患者の日常生活でのデータを、生体情報端末を利用し24時間の測定を可能にし、そのデータはインターネットを通じ研究者にフィードバックされ、ヘルスケア行動の指導が遠隔地においてもできることである。この手法は、他の難治性疾患の患者の健康管理に適用できる可能性がある。
筋強直性ジストロフィータイプ1患者(DM1)の疲労感の測定と、彼らのQoL改善の要因を検討した。10名のDM1患者は、生体情報端末で活動量をセルフモニタリングしながら、体重のコントロールが求められた。また疲労感(MFI-20)、HbA1c、QoLも測定された。ベースライン、介入、フォローアップの期間はそれぞれ2か月であった。体重は平均で約4kg減少したが、HbA1cは変化が見られなかった。疲労と抑うつ感は低下したが、昼間の眠気の軽減は大きくなかった。DM1患者の健康管理の目標として、体重のコントロールが適切であることが示唆された。体重のコントロールは、疲労感や抑うつの改善にも効果的であった。
筋強直性ジストロフィータイプ1は、難治性の神経筋疾患ではあるが、中枢神経障害も含む多くの合併症状を有する。疲労感、抑うつ、過度な昼間の眠気があることは報告されているが、その原因や促進要因は明確ではない。彼らのQoLを改善するには、身体的治療ばかりでなく、心理的要因についても配慮することが重要である。本研究では、生体情報端末を利用し、体重と活動量をセルフモニタリングすることで、彼らの健康管理への意欲を高め、疲労感の軽減など心理的要因改善を試みるプログラムを実施した。体重は平均で約4㎏低下し、疲労感や抑うつ感の改善が認められた。本研究の成果は、疲労感の高い他の身体的な疾患でも適用可能と思われる。
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