研究課題/領域番号 |
19K03325
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
金築 智美 東京電機大学, 工学部, 教授 (40468971)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 過剰適応 / セルフ・コンパッション / ロールレタリング / 理想的な聴き手 / 本来感 / 自己受容感 / 相反する自己 / 援助要請スタイル / 内的適応 / セルフコンパッション |
研究開始時の研究の概要 |
従来の過剰適応研究では,その緩和の重要性が指摘されてきたものの,実証的な介入研究は散見されるに過ぎなかった。特に,過剰適応者の内的適応を高めることに着目した介入法がほぼ皆無である現状を鑑み,本研究では,過剰適応の内的適応の低下といった要因に着目し,自己への思いやりの視点を導入したRLという手法によって,簡便かつ安価で,過剰適応者が自らの健康を損ねることなく社会的適応を保つことができるための具体的方策を提示することを目指す。
|
研究実績の概要 |
令和4年度では、過剰適応が高く、自己への思いやりが低い者をターゲットとしたロールレタリング(以下、RL)の介入実験を実施した。COVID-19の感染拡大による影響によって対面での実験実施が困難であった令和3年度と同様に、令和4年度においても感染のリスクが懸念されたため、オンライン(Googleフォーム)上にて実験を行った。また、令和3年度の実験においても、本研究であつらえた介入プログラムの効果が認められていたため、オンライン上でも問題ないとの判断であった。 具体的には、実験参加への承諾が得られた者のうち、過剰適応の程度が平均値より高く、自己への思いやりであるセルフ・コンパッションの程度が平均値よりも低い者33名を対象に、RL群(15名)と統制群(18名)に分類し、実験を実施した。介入プログラムの特徴として、自己への思いやりを育むための「理想的な聴き手」を創造し、その相手をイメージしながらRLを行う手続きを含めた点にある。令和3年度では、肯定的感情が高まり、否定的感情が減じ、さらには自己受容感が高まることが示された一方で、自己への思いやりに焦点化しているにも関わらず、その程度が上昇したのかどうかが不明だった。そのため、令和4年度では、実験前後における日本語版状態セルフ・コンパッション尺度(状態SC)と日本語版PANASのネガティブ情動であるNA因子の変化を調べた。介入前における状態SCの群間の等質性が認められなかったため、プリテストからポストテストにかけての変化量を求め、1要因の分散分析を行った。その結果、RL群の状態SCが統制群のそれよりも有意に上昇していた。一方、ネガティブ情動では、RL群が統制群より有意に低減した。このことから、本研究で実施したRLは、過剰適応で自己への思いやりが不足した者のセルフ・コンパッションを高めることに適していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、令和3年度に続き、COVID-19による感染拡大及び感染のリスクが懸念されたため、対面による介入研究を行うことが困難であった。オンライン上での代替措置で実施し、介入効果には大きな影響は与えないことが判ったが、一昨年度の遅れが研究遂行の全体の遅れにつながっており、影響を与えている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、令和3・4年度に作成した過剰適応者を対象としたロールレタリングの長期的な介入研究を実施したいと考えている。また、COVID-19によってオンライン上での実験を余儀なくされたことも考慮し、RLを行う際の実施方法、すなわち、Web入力による効果と対面による効果の違いを確認することも行いたい。さらに、令和4年度の研究結果について、役割交換書簡法・ロールレタリング学会にて発表を予定している。
|