研究課題/領域番号 |
19K03467
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山内 貴光 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (00403444)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 粗幾何学 / 次元 / 位相空間 |
研究開始時の研究の概要 |
粗幾何学(または大尺度幾何学)とは, 遠くで眺めて同じに見える(距離)空間を同じと考える幾何学である. 粗幾何学における中心的な予想が微分トポロジー等に応用をもつ粗Baum-Connes予想であり, 漸近次元や境界と呼ばれる位相空間が, この予想に重要な役割を果たしている. 本研究では, 漸近次元や境界に関する未解決問題に挑戦すると共に, 漸近次元に関連する種々の概念や境界に関する性質の解明を目指す.
|
研究実績の概要 |
距離空間の超空間における粗幾何学的次元概念とHigsonコロナとよばれる位相空間に対して,以下の成果を得た. 1.距離空間Xの有限な部分集合全体のなす集合F(X)にはHausdorff距離と呼ばれる標準的な距離が定義できる.この距離空間F(X)は超空間と呼ばれる. 超空間F(X)とその部分空間の粗幾何学的な次元についてT.Weighill氏,N.Zava氏と共同研究を行い,次を得た:長さが増大する区間の列が距離空間Xに粗埋め込み可能であれば, F(X)はHilbert空間に粗埋め込み可能でない.(Yu(2000)とHigson-Roe(2000)の定理により,漸近次元が有限な距離空間はHilbert空間に粗埋め込み可能である.) 特に,実数直線Rの漸近次元は1であるが,その超空間F(R)はHilbert空間に粗埋め込み可能でない.本結果を含む成果を論文としてまとめ,学術誌へ投稿した. 2.深谷友宏氏(首都大),尾國新一氏(愛媛大)と共同で行った双曲空間に対するGromov積の一般化に関する研究について,その成果発表を行った. 3.岩本-友安(2001)は半直線のHigsonコロナが分解不可能な連続体であることを証明した.半直線のStone-Cech剰余との比較によって,半直線のHigsonコロナが以下の性質をもつことを示した.(1)連続体仮説の下で連続体濃度のcomposantsをもつ.(2)どの非退化な部分連続体も遺伝的分解不可能でない.(3)任意の空でない開集合は非退化かつ分解不可能な部分連続体を含む.本結果の成果発表を行うと共に論文としてまとめ,学術誌へ投稿した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
距離空間の超空間における粗幾何学的な次元の様相ついて明らかにすることができた.また,半直線のHigsonコロナの連結性に関するいくつかの位相的性質について,半直線のStone-Cech剰余と同じ性質を満たすことが分かった.この中で,Stone-Cechコンパクト化の研究で基本的に用いられる超フィルターが,HigsonコロナやHigsonコンパクト化の研究でも有用であることが分かった.
|
今後の研究の推進方策 |
「漸近次元が有限」と「Hilbert空間に粗埋め込み可能」の間にはいくつかの無限次元概念が知られているが,これらの関係性の一部は未解明である.次年度は,まず,この問題に取り組む.また,今回のHigsonコロナの研究で得られた超フィルターを用いた手法が,他の議論(特に,Higsonコロナの次元の計算)に応用できるかを調べる.
|