研究課題/領域番号 |
19K03467
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山内 貴光 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (00403444)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 漸近次元 / 粗構造 |
研究実績の概要 |
粗幾何学における次元概念と、距離を粗幾何学的に一般化した粗構造について以下の成果を得た。 1.Guentner, Willett, Yu (2017)は離散群の局所コンパクトハウスドルフ空間への作用に対してdynamic asymptotic dimensionを定義し、C*環のnuclear dimension へ応用した。 Dynamic asymptotic dimensionの値が分かっている作用の例は少なく、Willettの問題「与えられた作用のdynamic asymptotic dimensionが有限であれば、その値は作用する群の漸近次元と一致するか」は未解決である。知念直紹氏(防衛大)と共同研究を行い、いくつかの具体的な作用に対してWillettの問題が肯定的であることを確認した。現在、より広い枠組みでもWillettの問題が肯定的となるかについて調べている。 2.有限生成群の幾何学的研究において語距離は基本的である。局所コンパクトかつσコンパクトな位相群に対してもこの種の距離が考えられるが、より一般の位相群について粗幾何学を展開する際には、群粗構造と呼ばれる距離を粗幾何学的に一般化した概念が必要となる。Rosendal(2021)は、位相群に対して、いくつかの群粗構造を提案した。それらのいくつかは有限生成群の語距離に由来するものの、一般には異なる。Rosendalによる群粗構造やそれらに示唆される群粗構造についてNicolo Zava 氏(Institute of Science and Technology Austria)と共同研究を行い、局所コンパクトな可換群において、それらの関係性を明らかにした。一般の局所コンパクト群における関係性については未解決な部分があり、現在、その問題に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
漸近次元とdynamic asymptotic dimension に関するWillettの問題に対して進展が見られた。併せて、dynamic asymptotic dimension の研究を進めるにあたって取り組むべき問題を確認できた。位相群の群粗構造については、特に局所コンパクトな可換群において、その様相を明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
Dynamic asymptotic dimension については、その基本的な性質や他の次元概念との関係も分かっていないことが多い。現在取り組んでいるWillettの問題の他に、関連する問題に取り組む。群粗構造については、一般の局所コンパクト群における様相と共に、それぞれの群粗構造の持つ特徴について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大による旅費の計上がなくなったため。 情報収集のための書籍等の購入や、新型コロナウイルス収束後の旅費等に充てる。
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