研究実績の概要 |
本研究のテーマは, affine Laumon空間の幾何学に付随する, 遮蔽作用素の成す代数, 分配関数の積分表示と, 分配関数が満たす方程式の研究である. 分配関数には, 被積分関数として選ばれるベクトル束の違いによって, 2種類のものが知られている. (1) adjoint matter付きのgauge理論に対するものは, Macdonald関数(とそのアフィン化)に対応し(本研究の初年度, 及び次年度の結果), (2) fundamental matter付きの場合は, 以下の説明する通り, 量子差分 Painleve VI 方程式の波動関数に対応することが示された. Shamil Shakirov によって導入された非定常差分方程式を, (適当なゲージ変換ののち)長谷川による量子差分 Painleve VI 方程式(神保・坂井方程式の量子化)と同定した. その差分方程式に付随する5次元の Seiberg-Witten 曲線は知られている4次元極限と整合的であり, Painleve VI 方程式の量子化, 及び, 差分化としての良い性質を持つ. Shakirov 方程式は(4つの質量パラメータのうち2つを適当に特殊化することによって)一般のスピンを持った(A^(1)_1の)量子 Knizhnik-Zamolodchikov (q-KZ) 方程式と同一視できることを示した. また, fundamental matter付きの affine Laumon 空間上の分配関数の組み合わせ的表示を調べることによって, それが既に知られているq-KZ方程式のジャクソン積分表示と一致することが示された. 従って, affine Laumon 空間上の分配関数はShakirov 方程式の解を与える.(粟田, 長谷川, 菅野, 大川, Shakirov, 山田氏らとの共同研究.)
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