研究課題/領域番号 |
19K03535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 一橋大学 (2021-2022) 東京工業大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
川平 友規 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50377975)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 複素力学系 / 退化Beltrami方程式 / 擬等角写像 / 放物的分岐 / トライコーン / 反正則写像 / 退化ベルトラミ方程式 / 正則力学系 / マンデルブロー集合 / 反正則力学系 / Zalcmanの補題 / Beltrami方程式 / Julia集合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究が対象とする複素力学系とは,Riemann 球面上で有理関数を無限に反復合成して得られる力学系をさす.1990年代,Goldberg と Milnor は複素係数多項式が生成する力学系において放物的周期点(複数の周期点が退化したもの)をもつとき,多項式の係数をうまく摂動することで,力学系のカオス部分を位相的に保ちつつ,退化していた放物的周期点を安定した吸引的な周期点と反発的な周期点のペアに変形できるであろうと予想した.本研究では,複素力学系理論における「擬等角摂動」の方法を発展させた μ-等角摂動により,Goldberg と Milnor の予想の肯定的解決を目指すものである.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,複数の周期点が退化した状態である放物的周期点をもつような複素力学系を「おだやかに」摂動し,力学系のカオス部分を本質的に保ったまま放物的周期点を安定な「双曲的」周期点の組へと変化させることができるか,という問題(Goldberg-Milnor予想とよばれる)に対し,μ-等角写像とよばれるクラスの写像を用いたアプローチを行うものである.2022年度の主たる研究成果は以下のとおりであった: ・Goldberg-Milnor予想へのアプローチとして,μ-等角写像に収束すると期待される擬等角写像の列に対する一般的な考察を行った. ・数式処理ソフト Mathematica と Porter-Shimauchiのアルゴリズムを用いて,複素力学系および擬フックス群の擬等角変形の可視化と,それに関連する研究発表を行った. ・Yi-Chiuan Chen氏と共同で,双曲的2次多項式による力学系が退化して放物的2次多項式による力学系が生成される現象について,正則運動の退化という形で定式化し,固有値があるストルツ角内にあるように退化する場合に,そのオプティマルな速度評価を与える共同研究を行った.とくに,力学系のカオス部分が片側ヘルダー連続に退化することを示し,その退化を記述する半共役の存在について新しい証明を与えた.また,それに関連する研究発表を行った. 現在,論文を執筆を終え,査読付き雑誌投稿中である. ・Junghin Lee氏と共同で,非アルキメデス的力学系におけるJ-安定性の研究を行った.また,それに関連する研究発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論面では,非アルキメデス的力学系の安定性について,Shadowingの理論に触発された新しい研究手法がうまくいくことが確認できたことは大きかった.また,精度保証つき数値解析を援用する方向の研究に目処がたった点は大きい.対面での研究集会や研究打ち合わせが可能になり,研究の濃度が上がった.
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今後の研究の推進方策 |
再延長した2023年度には4月から5月にかけてウプサラ大学のDenis Gaidashev氏を訪問し,μ-等角写像の精度保証つき数値計算の実装について研究を行う.また,本研究課題を基課題とする科研費・国際共同研究強化(A)の研究課題として,上記数値計算の方法の複素力学系理論への応用について研究を行う.
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