研究課題/領域番号 |
19K03536
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
羽鳥 理 新潟大学, 自然科学系, フェロー (70156363)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 等距離写像 / 保存問題 / バナッハ環 / GGV / Tingley 問題 / ジャイロ構造 |
研究開始時の研究の概要 |
連続関数全体,連続的微分可能関数全体,解析関数からなる空間,あるいはLipschitz関数からなるバナッハ環など各種の関数空間やバナッハ環,またはヒルベルト空間やバナッハ空間上の有界線形作用素からなるバナッハ環やその部分構造における各種写像と特に等距離写像の研究を行う。さらにこれらの空間上の全射等距離写像全体からなる群の大域的な構造がlocal actionによりどのように記述できるかを,このような群のlocal回帰性,2-local回帰性などを調べることを通して研究を行う。さらにジャイロ構造ほか他の各種構造とその関係について保存問題を通した研究を行う。
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研究実績の概要 |
バナッハ空間の等距離写像の研究においては、バナッハ空間の単位球面間の等距離写像がバナッハ空間全体に拡張するかという、いわゆるTingley問題にかかわる新しい結果が得られStudia Math.からようやく出版することができた。すなわちコンパクトハウスドルフ空間上の関数環Aと任意に与えられた複素バナッハ空間を考え、両者の単位球面環に全射等距離写像が与えられた場合それが関数環A全体から該当の複素バナッハ空間全体への全射実線形等距離写像に拡張されることが証明された。その際に関数環のショケ境界における点の分離に着目することが要点であることが発見された.これは関数環とは限らないもっと一般な関数空間に対しても考慮できる条件であり、さらに任意のバナッハ空間はあるコンパクトハウスドルフ空間上の関数空間として表現できるため、ショケ境界における点の分離に着目する方法は関数環以外のバナッハ空間にも適用できると思われ、この方向で研究を進めた。また関わる研究発表を海外の研究集会に招待される形で発表した.特にzoomで開催されたInternational conference on Banach algebras and related topicsで招待講演をThe Mazur-Ulam property for spaces of continuous functionsのタイトルで行った.また、Operator theory workshop, Memphis Universityに招待されてThe Mazur-Ulam property for some Banach spacesのタイトルで講演を行った. すでに発表してあったgeneralized gyrovector spaceの定義に関して補足する必要が生じたため、その報告を関数環研究集会において行い合わせて関数環研究集会の報告集において詳細を述べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外から関連する研究者数名と研究打ち合わせを実施するつもりであったがコロナ渦の中であまりできなかった。代わりにzoomなどを用いた研究集会に参加する形で国内外の多くの研究者を研究打ち合わせや講演を行うことができたので、それなりの成果は上がった。予定していたMolnar氏との研究打ち合わせはようやく令和5年度に実現する予定となった。各種研究集会などに出席し講演することも多少はできたのでその際に研究打ち合わせを行うことを通して研究も進展した。特に、等距離写像の研究においては、バナッハ空間の単位球面間の等距離写像がバナッハ空間全体に拡張するかという、いわゆるTingley問題にかかわる新しい結果が得られStudia Math.からようやく出版することができた。また関わる研究発表を海外の研究集会に招待される形で発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はMazur-Ulam propertyについては以下で述べるような方法に集中して研究を行いたい。それは、バナッハ空間を関数空間として表現したときに、ある種の点の分離に関する条件によってMazur-Ulam propertyを保証することができる可能性が分かってきたからであり、これはすでに公開してあるStudia Math.の論文の方法を拡張するものである.Sudia Mathで得られた主結果では関数環のショケ境界における点の分離の仕方に着目することが要点であったので、この方法は関数環とは限らないもっと一般な関数空間に対しても考慮できるであろうと思われ、さらに任意のバナッハ空間はあるコンパクトハウスドルフ空間上の関数空間として表現できることも考慮すると、ショケ境界における点の分離の仕方に着目することによって関数環以外のバナッハ空間に対してもMazur-Ulam propertyを持つことに関して新たな結果を得ることが期待できるのでこの方向で研究を進めて行きたい.さらに余裕があればgeneralized gyrovector spaceに対するいわゆるTingley問題を考察できないか検討したい.
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