研究課題/領域番号 |
19K03539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山上 滋 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 名誉教授 (90175654)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | semicircular law / Plancherel formula / radial representation / primitive ideal / Stieltjes transform / state functional / Daniell integral / hypergroup / gaussian element / moment problem / tensor category / dequantization |
研究開始時の研究の概要 |
従来、対称性の研究は、群が幾何学的空間に作用する場合を中心に行われてきた。物理的な状況において、これは時空の存在を前提として論を組み立てることに他ならない。 ここでは、発想を逆転させて、まず量子対称性の実体としてのテンソル圏から出発し、それに基づく多自由度系の極限を考え、極限を統制するマクロパラメータとして幾何学的情報を抽出する。 いわば、テンソル圏による対称性および保存則に着目した形で、非可換な量子系から可換な系を導くという、量子化ならぬ反量子化のあるべき姿の探求を目標とする。
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研究実績の概要 |
諸々の手違いがあり、図らずも最終年度の実績報告とは相成った。当初掲げた目標には未だしではあるが、記録ということで述べておきたい。 まず昨年度からの継続として、半円分布に対するずらしの操作を非可換確率の立場から見直すことを行い、それを形あるものにするために、お茶の水女子大の吉田裕亮と連絡を取り、信州大学での研究集会において発表・討論する機会を得た。 ついで、半円分布のずらしの元になった Cartier 超群のスペクトル解析の結果を数理解析研究所における共同研究の場で発表を行い、そのときの会場でのやりとりから、Plancherel 公式との関係に思いいたり、arXiv での公開物の手直しに結びついた。これは自由群の場合の放射表現 (radial representation) の既約分解を与えるもので、放射表現の特別な場合である正則表現に限ったものが通常の Plancherel 公式に一致するという体裁を取るものである。 さらに、これに関連する形で、放射表現から生成される作用素環の原始イデアル空間を記述する作業に取り掛かった。そのもとになる既約表現の構成については、球関数の自由群版が古くから調べられており、それを利用することで、原始イデアル集合が具体的に得られることから、原始イデアル相互の位相関係も具体的に記述できるであろうことが見て取れる。ただ、球関数に伴う原始イデアルからの閉包に何が現れるかは別問題であり、とくにそれが全体として原始イデアル空間の中で閉じていることは明らかではない。幸い、球関数から作られる球表現については、興味深い構成による正則パラメータ表示も複数考案されていて、それらを適切に組み合わせ比較することで、当初の期待通りの結果が正しいことを確認した。
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