研究課題/領域番号 |
19K03558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平山 至大 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50452735)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 多重再帰性 / Khintchine型多重再帰定理 / Furstenberg独立性 / Mobius直交性 / 重み付きエルゴード定理 / 多重同時再帰性 / エルゴード理論的結合 / 多重再帰定理 / 同時再帰時間 / 対角測度 |
研究開始時の研究の概要 |
エルゴード理論あるいは力学系理論において,もっとも基本的かつ重要な性質の一つに再帰性がある.例えば確率測度を保つ変換(保測変換)に対するPoincare再帰定理により,測度正の集合に属するほとんどすべての点は,保測変換の反復合成作用の下,その集合に無限回戻ることが知られている.この性質は,単一保測変換の場合から保測変換族に対する多重同時再帰性へと拡張して確立されている.本研究では,保測変換族に対する多重同時再帰性の定量的側面について,一般論の探求および具体例に対する評価を行う.
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研究実績の概要 |
確率空間上の保測変換族が呈する多重同時再帰性の定量的側面について,一般論の探究と具体的な変換族についての評価,という相補的研究を行った.このうち一般論に関しては,Furstenbergの意味で独立(排反)な保測変換族に対する多重エルゴード平均の二乗平均収束やKhintchine型の定量的多重再帰定理などを国際共同研究の成果として確立することができた.変換族が可換な場合には先行研究があったが,本研究成果は非可換族にも応用を持つ点で意義深いと思われる.この成果は国際共著論文として学術雑誌に掲載された.また,ある具体的な変換族についての多重同時再帰時間を完全に計算し,再帰時間に関する Kac 型公式の多重版において興味深い現象を見つけることができた.これに関しては,現在も研究遂行中であり,今後論文としてまとめる予定である.この研究過程で,ある古典的な変換の誘導変換の中心化群を決定し,それにより,当該変換が自己結合の極小性をもつことも明らかにできた.この成果については現在論文作成中である. Furstenbergの意味での独立性に関係の深い性質としてMobius直交性が知られている.これは変換とMobius関数の数論的直交性(相関)に関する性質である.特に,コンパクト距離空間上の同相写像が生成する位相力学系の枠組みでは,この直交性についてSarnakにより定式化された予想があり,現在も活発な研究がなされている.本研究開始時点では想定していなかったが,Furstenbergの意味での独立性について研究を進めていた過程で,Mobius直交性についても国際共同研究が始まり,一定の成果を確立することができた.本研究成果は,ある意味で真に無限な保測変換に対するMobius直交性について,恐らく初めてのものではないかと思われる.この成果は国際共著論文として学術雑誌に掲載された.
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