研究課題/領域番号 |
19K03572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
愛木 豊彦 日本女子大学, 理学部, 教授 (90231745)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 弾性体 / 非線形偏微分方程式 / 非線形歪み / 非線形応力関数 / 弾性体方程式 / 解の漸近解析 / 自由境界問題 / 圧縮性弾性体 / 漸近挙動 / 非線形放物型方程式 / 解の正則性 / コンクリート中性化過程 / マルチスケールモデル |
研究開始時の研究の概要 |
コンクリートは時間が経つとともに、中性化反応によって微視的内部構造が変化し、非均質な状態となる。この状態変化を解析するためには、巨視的な水分輸送や二酸化炭素の拡散とともに、微視的な構造を記述する必要がある。また、閉じた領域に微小な金属を配置しそれらに光を当て温度勾配を生じさせることで、分子分離に成功したという実験結果が報告されている。この実験では、液体と金属が混在する非均質な領域を考えなければならない。そこで、本研究では、このような非均質な領域における非線形偏微分方程式のシステムの適切性を考察するとともに、非均質領域を手軽に扱える数値解析手法を開発し、その妥当性についても検討する。
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研究成果の概要 |
当初,コンクリートのような硬い物質を想定して解析を始めたが,スポンジのような多孔性物質はその伸縮により場所ごとに特性が変化するため,このような弾性体を非均質領域として着目することにした。また,変位が微小とはいえないスポンジのような弾性体の動きを記述する偏微分方程式に対する研究が十分に進んでいなかったため,まずは弾性体を2次元閉曲線とみなした数理モデルの解析に重点的に取り組んだ。このモデルに現れる非線形歪みから生じる数学的困難を応力関数に特異性を仮定することで克服し,圧縮による歪みに対し下限が存在することを証明するなど,弾性体方程式に関してこれまでにない成果を挙げることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
弾性的な性質をもつ多孔性物質に対する浸透現象を記述する微分方程式モデルを提案することができた。本研究で示した数理モデルは極めて単純化した現象しか扱えないが,物質の力学的変化と水分量の変化を同時に考慮した初の数理モデルである。特に,スポンジのような変位が大きな値を取り得る物質の変化を,特異性が仮定された応力関数によって大域的な解の存在を示したことができた。これは,これまでの弾性体方程式では得られなかった結果であり,今後,この方程式を元にすることで弾性体の運動をより現実的なモデルで考慮記できるようになるものと考えている。
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