研究課題/領域番号 |
19K03581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
久藤 衡介 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40386602)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 交差拡散 / ロトカ・ボルテラ系 / 定常解 / 極限系 / 分岐 / 数理生物学モデル / 反応拡散系 / 摂動 / 楕円型偏微分方程式 / 非線形拡散 / 安定性 / 反応拡散方程式 / 拡散の相互作用 / 非線形楕円型方程式 / アプリオリ評価 / 写像度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ロトカ・ボルテラ系に焦点を当て,交差拡散と呼ばれる拡散項内の未知関数同士の積が,定常解の大域分岐構造にもたらす数理的メカニズムを導出することを目指す.ロトカ・ボルテラ競争系では,片方の種の交差拡散係数を無限大に発散させると,定常解の漸近挙動は第1極限系と第2極限系と呼ばれる非線形楕円型方程式系で分類されることが知られている(Lou-Ni(1999)).本研究では,国内外の研究が後れている第2極限系の解析を重点的に進めることにより,交差拡散係数が大きいケースで定常解の分岐曲線を構成する.さらに,両方の種の交差拡散係数を無限大としたときの定常解の漸近解析を,大域的分岐の見地から捉える.
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研究成果の概要 |
有界領域で縄張り争いをする二種類の競争種の個体群密度を記述するロトカ・ボルテラ系に対して、両種の交差拡散係数を無限大にしたときの、定常解の漸近挙動を明らかにした。漸近挙動の解明にあたり、まず、任意の定常解の高さ(最大値ノルム)が、両方の交差拡散係数に依存しない正定数で抑えられるという先験的評価を与えた。次に、両種の交差拡散係数を無限大にすると、定常解は極限系の解に収束することを示し、ノイマン型とディレクレ型のそれぞれの境界条件のケースで、極限系の解の大域分岐構造を決定した。その結果,両方の競争種の交差拡散効果によって、競争種同士の棲み分け現象が定常解のレベルでは再現出来ることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
競争種同士が空間的なに反発を記述する交差拡散項に対しては、数学的な解析の難しさから、ロトカ・ボルテラ系においては、片方のみの交差拡散係数を無限大にする操作しか研究されていなかった。本研究成果の最たる学術的意義は、定常問題において両方の交差拡散係数を無限大にする数学的処方(両方交差拡散極限)を提案し、拡散の相互作用の効果を定常解の分岐構造の見地から明示したことである。ロトカ・ボルテラ系以外にも交差拡散を伴う数理モデルが存在することから、両方交差拡散極限の他のモデルへの応用も期待出来る。
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