研究課題/領域番号 |
19K03593
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
四ツ谷 晶二 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60128361)
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研究分担者 |
森田 善久 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10192783)
川上 竜樹 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (20546147)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 非線形境界値問題 / 完全楕円積分 / 楕円関数 / 交差拡散方程式 / 反応拡散方程式 / 極限方程式 / 非局所 / 線形化固有値問題 / 非局所境界値問題 / 大域的解構造 / 安定性解析 |
研究開始時の研究の概要 |
非局所項が含まれることにより,従来の境界値問題に対する個々の解法や解構造の数学的解析手法だけでは不十分である.我々は,特に,非局所項が求めるべき解の定積分となっている,典型的な境界値問題に焦点を当てて,楕円関数を用いて,個々の方程式の全く新たな解法を発見して,定常解の大域的構造の数学的解明にも有効である独自の方法を開発し発展させてきた. 非局所項を未知の定数とした補助的境界値問題のすべての解の楕円関数を用いた表示式を求めて,非局所項と同値な楕円積分を含む超越方程式を導出し,それを解く手法を発見し,さらに数理モデル中のパラメータを動かしたときの解全体の大域的構造を調べる.
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研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究の成果は次の通りである. 1)研究代表者四ツ谷は,前年度に合金等の凝固現象を記述するために Fix-Caginalp により提案された1次元定常問題のすべての解の大域的分岐ダイアグラムを具体的に求め論文として発表した.この問題は積分制約条件をもつ非局所境界値問題であるために,既存の手法は全く無力であるので,本研究課題の研究進展の上に立ち新しいアイデアを付け加えることにより求めることに成功した.本年度は,拡散係数を零に近づけるときの定常解の線形化安定性に焦点をあて研究した.初期エンタルピーが零の場合に,非局所効果のない場合とは異なり,対称解から非対称解が分岐するが,分岐非対称解は不安定で,分岐点を境に対称解が不安定から安定に変化することを発見し数学的な証明を与えた.昨年夏の国際会議で中間発表を行い,現在,本論文をほぼ書き上げ投稿直前の状況である. 2)分担者森田は,半直線を組み合わせてできる木の形状をもつメトリックグラフ上におけるフロント波の伝播について研究した.複数の枝分かれする点 が存在するがブロックされずに通過する条件等を数学的に与えた. 3)分担者川上は,半空間において動的境界条件を有する非線形熱方程式の解析を目的として, 線形熱方程式の場合の基本解の構成を行なった. 研究期間全体を通じて実施した研究の成果は次の通りである. 研究目的としている非局所項を含む問題のうち,非局所項を含む アレン・カーン方程式,細胞極性の発現の数理モデルの拡散係数 を∞とした定常極限方程式については研究計画以上の成果を得た.さらに,これらの成果を踏まえて,従来未解明で困難と思われていた,合金等の凝固現象を記述する数理モデルの定常解問題の1次元全定常解のすべての大域的分岐ダイアグラムの明解な特徴付けを得ることができた.これにより,安定性の解析も可能となってきた.
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