研究課題/領域番号 |
19K03617
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
|
研究機関 | 岡山理科大学 (2020-2023) 新潟大学 (2019) |
研究代表者 |
渡邊 道之 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90374181)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 散乱理論 / 逆問題 / 非線形波動 / ハートリー・フォック近似 / 非線形シュレーディンガー方程式 / 多粒子系 / シュレーディンガー方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
逆問題とは,直接観測できない原因を観測された現象(結果)から推定する問題である。医学,物理学における逆問題は,例えば物体の内部画像を構成する問題(CTやMRI)や散乱粒子から原子・分子の配列構造に依存するポテンシャルを決定する問題がある。これらの問題は偏微分方程式を用いて定式化することができ,求めようとしている未知の物理的特性は方程式の係数などに表れる。一方で,現実の物理現象の多くは非線形であり,そのモデル方程式は必然的に非線形偏微分方程式となる。本研究では,非線形偏微分方程式の未知係数などを境界や無限遠における解の挙動から決定する(再構成する)ことを研究する。
|
研究実績の概要 |
最終年度:量子力学における多粒子系の逆散乱問題の数学的な進展を目指し、新たな手法の開発に焦点を当てました。具体的には、ハートリー近似法と高エネルギーボルン近似法を用いて、空間2次元の場合に適用することに成功しました。この成果は、従来の手法では困難だった問題の解決に寄与し、量子力学における逆散乱問題の理解を深める重要なステップとなりました。 研究期間全体:非線形性を観測データから同定する逆問題の数学的研究に取り組みました。以下の具体的な成果が挙げられます。 1. 非線形波動方程式の解の低振幅展開法の開発:この手法を用いて、非線形波動方程式の解をより正確に解析することが可能になりました。 2. 非線形シュレーディンガー方程式に対する高エネルギーボルン近似法の適用:この新しい手法により、非線形シュレーディンガー方程式の解の解析が進展し、非線形性の再構成において従来よりも高い精度で再構成公式の導出が可能となりました。 これらの成果は、圧電体の利用技術の進展や原子構造の解明に寄与する可能性があります。例えば、ライター、ソナー、スピーカーなどの技術における圧電体の応用に役立つだけでなく、原子構造の解明においても新たな知見を提供することが期待されます。今後は、より多様な数理モデルに対してこれらの手法を検証し、応用範囲を広げる予定です。 本研究は、量子力学における逆散乱問題および非線形性の同定に関する逆問題の数学的研究において重要な進展を遂げました。最終年度では、ハートリー近似法と高エネルギーボルン近似法を空間2次元の場合に適用する新手法を開発し、研究期間全体を通じては、非線形波動方程式および非線形シュレーディンガー方程式に対する新しい解析手法を確立しました。これらの成果は、圧電体の利用技術や原子構造の解明に寄与するだけでなく、今後の数学的研究の発展にも大きな影響を与えると期待されます。
|