研究課題/領域番号 |
19K03740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大久保 毅 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任准教授 (00514051)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | テンソルネットワーク / 量子スピン液体 / キタエフ模型 / 相転移 / フラストレーション / スピン液体 / フラストレート磁性体 / 熱ホール伝導度 / 密度行列 / 有限温度物性 / 量子スピン / 磁性体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、相互作用にフラストレーションが存在する磁性体、フラストレート磁性体に着目し、その物性、特に有限温度での種々の物理量をテンソルネットワーク法により数値的に解析する。精度の高い有限温度での計算手法を開発することで、実験研究とモデル計算の直接比較を可能にし、フラストレート量子スピン系を対象に、量子スピン液体などの新規秩序を基底状態と有限温度の双方の視点から物性を理解することを目的とする。これまで波動関数のテンソルネットワーク表現により非常に大きな系の基底状態計算を可能にしてきた手法を、密度行列による有限温度に拡張し、フラストレート磁性体の物理を理解するために新しい軸を展開する。
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研究成果の概要 |
本研究では、二次元のフラストレート磁性体の有限温度物性をテンソルネットワーク表現を用いて解析する手法を開発し、主に、キタエフ相互作用を持つ量子スピン模型に適用してその有限温度物性を明らかにした。有限温度量子状態の密度行列を小さなテンソルのつながり、テンソルネットワーク、で記述し、無限に広がった二次元系には、二次元的にテンソルがつながったテンソル積演算子を、有限サイズの二次元系には、一次元的にテンソルがつながった行列積演算子を採用することで、磁場中のキタエフスピン液体に特徴的な熱ホール伝導度の温度依存性や、非対角相互作用の存在による有限温度物性の変化を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、これまでは高精度な解析が困難であった、二次元フラストレート磁性体の有限温度物性を、テンソルネットワークを用いて解析する手法が確立された。従来から実用化されているテンソルネットワークによる基底状態の計算と、本研究による有限温度物性の計算を組み合わせることで、スピン液体等のフラストレート磁性体で実現する新奇秩序の物性を、基底状態で顕著な量子揺らぎ、有限温度で現れる温度揺らぎの、双方の視点から解析できるようになる。開発した手法により、特に、磁場中のキタエフスピン液体における熱ホール伝導度の温度依存性について、理解が進み、この成果は、今後のキタエフ物質の物性理解にもつながると考えている。
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