研究課題/領域番号 |
19K03769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
土田 秀次 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50304150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | イオンビーム / 紫外線 / 生体分子損傷 / 液相水 / ヌクレオチド分子 / DNA損傷 / 液体の水 / ヌクレオチド / 真空内液体ジェット / ウリジル酸 / 紫外線照射 / 多光子吸収 / 二次イオン質量分析 / 間接作用 / 液体内生体分子 / 放射線損傷 / 重イオン / 生体分子 / 素反応 / 高速重イオン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生体分子の放射線損傷過程を原子レベルで理解するため、水中における生体分子の周辺で起こる素反応について、特に、生体分子損傷における液体の水分子の役割を明らかにする。真空内液体分子線法により作製した生体分子水溶液に、MeVエネルギーのイオンビームを衝突させ、液体から放出する生体分子の分解イオンを質量分析することで、分子の切断箇所を原子レベルで特定する。生体分子に水が配位することで、放射線による直接作用がどう影響されるかに注目し、放射線及び二次電子が生体分子にあたり分解が起こる際、周辺の水分子によりその分解がどのような機構になっているかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
放射線の生体影響は人類の長年の関心事であるが、その根本的なメカニズムは未だ解明されていない。最近の研究では、原子レベルでの生体分子への放射線損傷の分析が行われ、損傷における液体の水の役割の解明が課題になっている。本研究では、この課題を解決するために、イオンビームによる水中の生体分子損傷に関する実験的研究を行った。この研究は、粒子線がん治療の基礎物理に関連している。この研究を通じて、我々は、次の2つの知見を得た。一つ目は、生体分子の損傷過程において分子周辺の水分子の配位が損傷に影響を及ぼしていること、二つ目は生体分子の損傷に関与する二次電子のエネルギーを特定したことである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生体分子の放射線損傷に関するこれまでの研究では、細胞の主成分である水分子の影響が考慮されていない問題点があった。本研究では、液体の水環境下における生体分子の放射線損傷を、生体分子の分解生成物を質量分析により直接測定し、生体分子の損傷箇所(結合が切れた箇所)を原子レベルで特定するもので、このような研究は未だ行われていない。従って、放射線によるDNA損傷の新たなメカニズムの解明に繋がる可能性がある。生体分子損傷における水の役割を解明は全く進んでおらず、本研究により、人体への放射線影響の科学的理解がさらに進展するものと期待される。
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