研究課題/領域番号 |
19K03802
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
河村 学思 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (70509520)
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研究分担者 |
田中 宏彦 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (60609981)
大島 慎介 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (00469610)
澤田 圭司 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (40262688)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 核融合周辺プラズマ / 輸送モデリング / 非接触プラズマ / 再結合 / 中性粒子 / ダイバータ / 原子分子過程 / 磁場閉じ込め核融合 / 周辺プラズマ / プラズマ / シミュレーション / 核融合 / モデリング / EMC3-EIRENE |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の目的は、3次元的な装置形状や磁場形状を取り扱うことのできるEMC3-EIRENEコードを用いて、非接触プラズマの数値モデル開発を行うことである。非接触プラズマは、プラズマが壁に達する前に再結合して中性ガス戻る状態にあり、核融合炉の壁への熱負荷軽減のために必須である。しかし、体積再結合を含めた計算は世界的にもまだ開発途上で、コード開発や実験による検証が必要である。そこで、再結合プラズマ実験に実績のある直線装置で研究開発を行い、その後により核融合炉に近い大型装置での検証を行う計画である。
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研究実績の概要 |
NAGDIS-II直線装置で前年度に本格的に開始した重水素放電で課題となっていた放電の不安定性を解消するため,放電部とダイバータ模擬領域間でガスをバイパスする配管を設置し,バルブ開閉操作による追加の圧力制御を行うことで,放電の安定化を実現させた.また,下流ガス流量調整により重水素プラズマの接触・非接触状態の遷移を制御し,そのときの上流・下流プラズマパラメータをレーザートムソン散乱計測により取得することに成功した. 同装置の数値モデリングでは,前年度に開発したガス排気モデルを用い,EMC3-EIRENEコードを用いたプラズマ輸送計算を実施した.電子加熱パワーと放電部ガス流量を調節して低温の接触プラズマを生成し,下流ガス流量を徐々に上昇させることで非接触遷移を達成させた. 水素原子分子の輸送モデリングでは,水素分子の電子・振動・回転状態を区別した水素分子衝突放射モデルの整備し,非接触プラズマにおける電子と陽子のエネルギー損失率係数を計算した.非接触プラズマのプラズマパラメータの元で電子基底状態の振動・回転ポピュレーション分布を初期300 Kのボルツマン分布を与えて時間発展的に解いたところ,電子衝突での振動・回転励起による電子のエネルギー損失が,分子の解離を伴うトリプレット状態への励起によるエネルギー損失よりも1桁から2桁大きいことがわかった. また,非接触プラズマ研究を目的とはしていないが,Heliotron J装置のEMC3-EIRENEモデルによる加熱パワーと電子密度のサーベイを行い,高密度条件で質的な変化を伴う下流プラズマパラメータの変化を得ており,直線装置以外の放電条件について検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Wisconsin大学の研究グループの協力により,体積再結合を含めたEMC3-EIRENE計算が実現し,NAGDIS-IIの重水素非接触放電の計算にめどが立ったのがもっとも大きな進展である.分子活性再結合(MAR)と電子イオン再結合(EIR)の体積当たりの反応レートの空間分布を得ることができるようになり,電子温度が2 eVを下回り始めた領域でMARが増加し,ターゲット板に向かってさらに低温化するとMARが低下し,1 eVを下回る用域では入れ替わるようにEIRが増加し,明確な粒子束の減少が確認できた.一方,実験では再結合反応レートの直接計測は困難であるものの,下流ガス流量を振った一連の放電で,レーザートムソン散乱計測で電子温度に特徴的な変化が観測されるとともに,発光分光計測からガス圧条件に応じてMARとEIR発生時に現れる特徴が確認された. コロナ禍による海外との行き来が制約されている中,進捗に遅延が生じていたが,数値モデリングと実験が歩調を合わせて研究を進められる状況となり,両者の比較を含めた詳細な物理解析の基礎が整いつつある進捗状況を有効に活用するため,補助事業期間延長を行った.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では,NAGDIS-II装置における重水素非接触プラズマについて,数値モデルと実験の双方から各種物理量の比較検討を進める.ガスの流入条件や加熱機構などの状況に違いがあることに留意しつつ,再結合領域の形成過程やその規模などの定性的な特徴に注目し,非接触プラズマの物理的な理解を進める.また,原子分子の各反応レート分布や,特定の反応の輸送への影響評価など,数値モデリングの利点を生かした解析を進める.また,他の装置(W7-X,CFQS,HIT-PSI,JT-60SA,EASTなど)に関する数値輸送モデリング共同研究と関連付けて研究の展開を検討する.中でも,CFQSとW7-Xに関してはフットプリントやダイバータプラズマ特性についての検討を開始している.
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