研究課題/領域番号 |
19K03836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 長崎総合科学大学 (2020-2022) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 (2019) |
研究代表者 |
板倉 数記 長崎総合科学大学, 共通教育部門, 教授 (30415046)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高エネルギー原子核衝突 / クォークグルーオンプラズマ / 強い場の物理 / 重イオン衝突 / クォーク・グルーオンプラズマ / 熱平衡化 / 相対論的重イオン衝突 / 強いカラー電磁場 / 非平衡過程 / 非線形現象 |
研究開始時の研究の概要 |
高エネルギー重イオン衝突実験では高速に加速した原子核を衝突させることによって、原子核とその構成要素である陽子と中性子に閉じ込められているクォーク、反クォーク、グルーオンとが自由に動ける「クォークグルーオンプラズマ」を生成させる。しかし、実は生成するクォークグルーオンプラズマに含まれるクォークと反クォークは衝突前の原子核に含まれるものではなく、衝突直後にある強いカラー電磁場から新たに生成したものと考えるのが通例である。しかし、このような標準的描像では生成時間がかかりすぎるために他の効果が必要と考えられる。本研究では、新たな重要な機構を強い場の存在という観点から探り、解決を目指すものである。
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研究成果の概要 |
高エネルギー原子核衝突では、陽子や中性子の下部構造であるクォークとグルーオンの熱平衡状態である「クォークグルーオンプラズマQGP」が生成するが、衝突後にどのような物理過程を経てQGPに至るのかは全く分かっていない。衝突直前の状態はグルーオンが高密度に凝縮した「カラーグラス凝縮CGC」と呼ばれる状態だということが理論的にもわかっているので、問題はCGCからQGPへの転換の起こる物理機構の同定にある。CGCの特徴をとらえた枠組みで運動学的アプローチから理解しようとするのが主流ではあるが、本研究では「強い場」がもたらす新規現象に注目して、それが早期熱化機構に寄与する可能性を検討した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
QGP生成過程という現象は、強結合量子多体系の時間発展を理解する必要があり、理論物理学にとって最も難しい「強結合」「多体」「時間発展」の3つが関係する重要な問題である。一見複雑にみえるこの現象を、実は「強い場の物理」の観点から読み解けば、最終的な結論は得られてはいないものの、比較的容易に理解できる可能性がある。また、強い場の物理自体は、高強度レーザーにおける粒子対生成などの新規現象や、中性子星やマグネターなどの超強磁場中での物理とも関係し、学術的に意義の高いテーマである。
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