研究課題/領域番号 |
19K03874
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
高橋 智 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60432960)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | インフレーション / 初期宇宙 / 初期宇宙進化 / 原始密度揺らぎ / 精密宇宙論 |
研究開始時の研究の概要 |
近年のプランク衛星等の精密宇宙観測などにより,宇宙の構成要素,及び,宇宙進化に関して詳細な情報が得られるようになってきた.それにもかかわらず,我々の初期宇宙進化の理解はまだまだ不完全であると言わざるをえない.本研究は次世代の精密宇宙観測を見据え,今後,どのようにして初期宇宙進化を探っていくか,その方法論を構築し,具体的に2020年代の将来観測でどこまで明らかにすることができるか検討していく.新たな初期宇宙の検証方法も模索し,インフレーション時期から元素合成時期までの初期宇宙進化の理解のために何が必要なのか徹底的に検討していく.
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研究実績の概要 |
近年の精密な宇宙観測により、インフレーションモデルの検証が進んでいる。特に単一場のインフレーションモデルに対する現在の観測データからの制限は厳しくなっている。しかしながら、複数場のモデルや重力と非最小結合を持つようなフレームワークを考えると、単一場のモデルとしては観測データと矛盾してしまうモデルであっても、現在の制限と矛盾しないモデルを構築できる場合がある。
当該年度においては、複数場、かつ、重力と非最小結合を持つインフレーションモデルについて、非最小結合を持つスカラー場のポテンシャルには簡単な仮定をおきつつも、一般的な場合について、観測量(原始密度揺らぎのスケール依存性を表すスペクトル指数、原始重力波の振幅を表すテンソル・スカラー比など)に対する予言を調べ、どのような場合に観測データと整合するモデルを構築できるか調べた。また、具体的にインフラトン場のポテンシャルを仮定した場合の解析も行い、複数場・非最小結合インフレーションにおけるモデル構築について様々な知見を得た。
また、最小結合の場合の複数場インフレーションモデルについても研究を進めた。特に、インフラトン場とカーバトン場の複合モデルを具体的に素粒子模型の枠内で構築する研究も進めた。この際、インフレーションだけでなく、バリオン数生成機構についても考慮し、どちらも整合的に記述できるモデル構築が可能か調べた。そして、当該モデルのフレームワークで、現在観測からのインフレーションモデルに対する制限と整合し、かつ、現在の宇宙のバリオン数を説明できる場合があることを具体的に示した。さらに、将来の原始重力波の観測での検証可能性についても解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては、複数場インフレーションモデルにおける重力との非最小結合の影響などについて、ある程度一般的な枠組みでの予言について調べ、どのようなインフレーションモデルが観測データと整合し得るかなどについて知見を得た。また、最小結合の複数場インフレーションのさらなる拡張における具体的な素粒子模型のフレームワークでのモデル構築も行なった。
さらに、将来観測を念頭におき、特に小スケールの揺らぎの観測によるインフレーションモデルの検証について、新しい検証法も含め研究が進んでおり、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、原始重力波、および、小スケールの密度揺らぎの観測を用いて、特に複数場インフレーションモデルがどこまで(一般的に)検証できるか検討したい。複数場インフレーションのフレームワークでは、単一場のインフレーションモデルでは排除されている場合であっても、複数場のセットアップの仕方により、観測データと整合するモデルの構築が可能であるが、一方で、複数場の場合はモデルとしての自由度が増えてしまうため、出来るだけモデルに依存しないように複数場モデルの検証を行う際は多角的なアプローチが必要がある。その具体的な方法論に関して研究を進めたい。
さらに、今後の様々な宇宙観測を複合的に用いて、どのようにインフレーションモデル、および、初期宇宙進化のシナリオが検証できるかについても、新しい検証法についても探りつつ研究を進めていく予定である。
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