研究課題/領域番号 |
19K03876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
原田 知広 立教大学, 理学部, 教授 (60402773)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ブラックホール / 初期宇宙 / 原始ブラックホール / 一般相対論 / スピン / 原始ゆらぎ / 重力崩壊 / 宇宙論的摂動 / 回転ブラックホール / 重力波 |
研究開始時の研究の概要 |
初期宇宙ではインフレーション起源のゆらぎが重力崩壊することで原始ブラックホールができると考えられている。本研究では、インフレーション後の輻射優勢期における原始ブラックホール形成過程において、ブラックホールがどのようにそしてどれだけの角運動量を獲得するのかについて明らかにする。具体的には、一般相対論的な長波長解の非線形性の解析によって、形成される原始ブラックホールのスピンの評価を行う。そして、LIGO重力波イベントの源としての原始ブラックホール説や暗黒物質としての原始ブラックホール説に対する理論的な示唆を与える。
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研究実績の概要 |
2022年度には、古賀泰敬PD研究員(名大)・多田祐一郎YLC特任助教(名大)・横山修一郎助教(名大)・柳哲文講師(名大)とともに、宇宙の輻射優勢期に生成された原始ブラックホールの連星について調べ、その連星パラメータの確率分布を求め、重力波観測データによるブラックホール連星パラメータの推定と比較可能な形にまとめた。特に有効スピンパラメータの標準偏差が0.001程度と非常に小さくなることを示した。また、郡和範准教授(KEK)・寺田隆広研究員(IBS)・佐々木節特任教授(Kavli IPMU)・柳哲文講師(名大)とともに、物質優勢期原始ブラックホール形成における速度分散の効果について考察し、その効果が非常に大きくなりうることを示した。 その他2022年度に論文誌に掲載された成果としては以下のとおりである。1)中尾憲一教授(大阪公大)・岡林一賢PD研究員(京大基研)とともに、グラヴァスターの量子論的粒子生成を計算した。2)佐藤琢磨氏(立教大院)・前田秀基教授(北海学園大)とともに、共形シュヴァルツシルト宇宙論的ブラックホール解を調べた。3) そして、佐藤氏・前田教授とともに、その中でも特にタクルタ時空が宇宙論的ブラックホールを記述しないことを示した。4) 前田教授とともに特殊だが非常によく用いられるあるクラスの時空について、エネルギー条件を判定する条件を与えた。5) 伊形尚久助教(学習院大)・B.J. Carr名誉教授(QMUL)・佐藤氏とともに、線形状態方程式に従うFLRW時空における曲率特異点の完全分類を行った。6) 柳講師・平野進一PD研究員(名大)・大川博督准教授(早大)・佐々木特任教授とともに、等曲率ゆらぎによって原始ブラックホールが形成されることを、数値相対論的シミュレーションによって実証することに、世界で初めて成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究そのものは全く申し分なく進んでいる。むしろ予想以上に進んでいる。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行によって学会・研究会等が開催されなかったりオンライン開催になったり、また海外渡航を円滑に行うことができなかったりしたため、本研究計画に盛り込まれている学会発表・研究会発表が十全に行うことができない部分があった。
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今後の研究の推進方策 |
原始ブラックホールの生成する時期を輻射優勢期から状態方程式がより柔らかくなる時期に拡張するという発展をさせるとともに、新型コロナウイルス感染症の影響が小さくなるのに合わせて、研究成果の学会発表・研究会発表をおこなっていく。
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