研究実績の概要 |
研究代表者は研究期間全体を通して、Ia型超新星の親星モデルであるDynamically-Driven Double-Degenerate Double-Detonation (D6)モデルの検証を行った。Tanikawa et al. (2019, ApJ, 885, 103)においては様々な状況でのD6モデルを考慮し、大規模数値流体計算を行った。その結果はD6モデルが超新星残骸段階で特有な形状を示す可能性を示していた。そこでこの流体計算の結果を基にして、Ferrand et al. (2022, ApJ, 930, 92)において、D6モデルの超新星残骸段階の特徴を調べた。その結果、D6モデルは超新星残骸段階で明るいリング状の構造を持つことが明らかになった。2023年度はこれが日本のX線望遠鏡XRISMで判別可能かどうかを検証中である。 D6モデルは2つの白色矮星からなる連星(連星白色矮星)からIa型超新星が発生するモデルである。そのため、本研究の知見は連星白色矮星に関する他の研究にも役立たせることができた。Kinugawa etal. (2022, ApJ, 938, 52)では、日本の重力波望遠鏡計画DECIGOが連星白色矮星をどの程度検出できるのか、またIa型超新星モデルにどの程度制限を付けることができるのかについて明らかにした。また、Mori et al. (2023, arXiv:2306.17381)では、連星白色矮星合体がIa型超新星を起こさなかった場合にどのような進化を辿るのかについて明らかにした。 他にも様々な研究を行い期間中には30本の論文(うち11本の筆頭著書)を査読付論文雑誌にて公開した。また、期間中に国際研究会での招待講演8件、国内研究会での招待講演3件を行った。
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