研究課題
基盤研究(C)
次世代の電波望遠鏡となる大口径単一鏡において鏡面形状を保つための鏡面測定と形状補正を可能にする方法として、電波点回折干渉計によって望遠鏡光学系を通過したビーム波面を測定する手法が提案されている。本研究の目的は、電波点回折干渉計に向けて多素子化が容易な偏波計を開発することである。提案する偏波計は、平面アンテナと超伝導回路から成り、MKIDという超伝導検出器を用いるという新しいタイプの相関型偏波計である。本研究によって多素子化と製作も容易な偏波計が実現できれば、電波望遠鏡での補償光学への道を拓くことができる。
研究期間全体を通じて、相関型偏波計の必要な構成要素の全てについて個別の検討を行うことができ、相関型偏波計のピクセルの基本設計が完成した。逆位相合波器をおいた両直線偏波用平面アンテナ、相関型偏波計のための遅延回路、遅延回路とMKID共振器を繋ぐハイパスフィルタなどの新しい構成要素について、いずれも電磁界シミュレーションで必要な特性が得られている。得られた設計について、国際会議・査読論文にて発表した。偏波計の試作まで進めることは叶わなかったが、設計へのフィードバックが望まれる構成要素は明らかになり、これらの試作を始めようとしている。
ミリ波・サブミリ波帯の電磁波の波面を画像として撮影できるカメラが実現すれば、電波望遠鏡の受信機ビームや光学素子の特性を測定して評価することが、従来よりもずっと高速にできるようになる。これによって、学術的には電波望遠鏡の高性能化・高機能化が見込め、次世代電波望遠鏡の実現を技術的に後押しする。また社会的にも、この波長帯の電磁波のさまざまな応用の可能性を押し拡げられると期待できる。
すべて 2023 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
URSI Radio Science Letters
巻: 4
10.46620/22-0044
Journal of Low Temperature Physics
巻: 209 号: 3-4 ページ: 677-685
10.1007/s10909-022-02865-y
IEEE Transactions on Antennas and Propagation
巻: Early Access 号: 7 ページ: 3750-3757
10.1109/tap.2020.3044381
Optics Express
巻: 28 号: 16 ページ: 23075-23090
10.1364/oe.392787
巻: 199 号: 1-2 ページ: 250-257
10.1007/s10909-019-02262-y