研究課題
基盤研究(C)
Alaska大学Fairbanks 校(UAF)のフラックス観測施設(UAFサイト)で,凍土融解前にクロトウヒ群葉のCO2 交換量をチャンバ3組で2年次にわたり測定する。根圏凍結下での光合成の可能性とそれを支える不凍水の存在を検証する。UAFサイトでは群落レベルでCO2収支を通年観測しており,観測データとチャンバ測定結果とを相互比較し,さらにチャンバ測定結果のパラメータを生態系炭素収支の広域的評価モデルに組み込み(研究協力者,植山准教授)モデルによるCO2 収支評価を含めて,従来の定説を覆す根圏凍結下のCO2吸収を評価し,それが広域的CO2 収支と大気濃度に及ぼす影響を検討する。
凍土凍結下でのクロトウヒの光合成を観測的に明らかにしようとして,2019年秋期にAlaska大学Fairbanks 構内林に,チャンバー3個による光合成測定装置を設置した。COVID19感染拡大により翌年3月から大学構内の立入りができず研究を中断した。2022年4月上旬に観測を再開したが,地温センサーやチャンバーのセンサーは一部破損し,制御用のリレーや電磁弁の動作不良のためデータを取得できなかった。データロガーの配線や光合成測定用のチューブ配管などの再接続,センサーの交換を行ったが,光合成測定に不可欠な流量調節マスフローコントローラが完全作動せず,観測データを取得できないまま研究を終えた。
高緯度生態系の光合成開始時期(ON-Set)は陸域の炭素収支に重要である。本研究は根圏が凍結し水利用が困難な環境で,光合成が始まっていることを実証する試みである。先行研究で従来のOn-Set以前の光合成開始を把握したので,本研究では反復回数を増やし不凍水による光合成の可能性を実証する計画であったが,2年半に及ぶ学内入構制限のため期間内に実施できなかった。凍土凍結中の光合成開始によりCO2 固定が増加することから,生態系の炭素固定量の詳細把握につながり,地球温暖化予測モデルの精度向上に有益情報であると共に,人為的排出量の削減指標策定など政策的にも重要な知見を得る予定であった。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 10件、 招待講演 2件) 備考 (4件)
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