研究課題/領域番号 |
19K04006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
前田 拓人 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (90435579)
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研究分担者 |
小菅 正裕 弘前大学, 理工学研究科, 客員研究員 (90142835)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アジョイント方程式 / 波動場 / シミュレーション / 即時予測 / 地震波 / 津波 / データ同化 / 波動伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の基盤的地震観測網の整備によって蓄積された記録は,地震と地震発生場としての固体地球の理解を格段に進展させた.さらに近年は海域にも高密度地震・津波監視網が整備され,観測網はさらなる拡充をしつつある.では,高密度な地震・津波の観測記録から,いったいどれだけの情報量を抽出することができるのだろうか?この研究では,『多数の観測点で得られる地震・津波記録が空間的に連続である』という特徴に着目し,従来の地震・津波波形解析を『固体地球の波動現象における波動場空間連続性からの情報抽出』という抽象的なレベルで共通の問題として捉え直すことで,それぞれの解析手法をさらに進化させることを目的とする.
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研究実績の概要 |
アジョイント方程式に基づく地震・津波波動の表現について,さらなる進展があった.まず,SH波おおよび線形長波津波を表すスカラー波波動方程式に関し,津波を意識した波源・観測点レイアウトに基づいて波動場再構築の数値実験を実施した.この方法では,仮定あるいは推定された状態を初期条件とする前方予測シミュレーションと,アジョイント方程式に基づく時間反転シミュレーションの繰り返し(イタレーション)により初期状態を逐次的に推定するものである.あえて観測網は波源から偏らせた分布にすると,初期状態の推定には観測から拘束できないことに起因する空間的な染み出しが発生する.また,収束までには順方向と逆方向に数百のイタレーションが必要であった.この知見をもとに,この方法を即時予測に適合させるため,解析時間窓をアジョイント方程式を解くたびに時間方向に漸増させていくことにより,ある時間ステップに対しては一定以上の回数のイタレーションを維持しつつも逐次的に現在状態の推定が行える,というものである.本年度は比較的単純なレイアウトにおいてこの新手法の有効性を確認し,また地表でしか観測ができない地震動の波動場初期状態再構築の数値実験にも着手した.
他方で,これまでスカラー波動方程式に対して導出されていたアジョイント方程式の導出方法を再検討し,波動現象を記述する時間発展型の偏微分方程式に幅広く適用できるアジョイント方程式の導出レシピを作成できた.これに基づき,地震波動を表現する弾性体運動方程式の波動場初期状態を推定するためのアジョイント方程式の導出に成功した.地震動については構造不均質(構造の接道)に対するアジョイント方程式が広く用いられているが,波動場そのものについての導出はおそらく初めての成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大ならびにその対応のための用務増加のため,本研究課題のための十分な取り組みの時間を確保することができなかった.ただし,理論的な側面については当初計画からは想定外の進展があった.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症に伴う研究課題の遅延を踏まえ,補助事業期間の延長を申請し承認された.最終年度である次年度にはより現実的な構造に基づく波動場の推定の検証と成果の取りまとめを実施する.
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