研究課題/領域番号 |
19K04229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
泉 宏和 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 部次長 (70470226)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 薄膜 / 圧電応答 / 磁気応答 / 交差相関 / 焦電 / エピタキシャル歪 / 応力 / レーザー光援用照射 / マルチフェロイクス / 電気熱量効果 |
研究開始時の研究の概要 |
マルチフェロイクス物質は、電場の印加により分極(電気双極子)だけでなく磁気スピン(磁気双極子)も制御できるという特性をもつ。本研究では、それぞれの秩序が、大きなエントロピー変化の得られる相転移温度近傍においてどのような相関を示すのかを明らかにすることで、分極と磁気スピンという2つの秩序を利用する新奇冷却素子の創製を目指す。このために、相転移温度近傍での電場印加時における分極/磁気スピン秩序の相関を誘電特性と磁気特性の評価から明らかにするとともに、薄膜の微細組織構造が分極と磁気スピン秩序の相関に与える影響について評価を行うことで、新奇冷却素子の作業物質に適した物質の設計指針を獲得する。
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研究実績の概要 |
微小領域における高精度な温度制御に必要な、駆動部を持たず小型化の可能な冷却技術として、制御の容易な電場を用いる電気熱量効果を利用する冷却技術が注目されている。その作業物質には、電場によって電気双極子の秩序が大きく変化する強誘電-常誘電相転移温度を動作温度付近に有する強誘電体が有力な候補となっている。一方、電気と磁気の間に電気磁気効果とよばれる交差相関が見られ、印加した電場によって分極だけでなく磁気スピンも制御することが可能とされる「マルチフェロイクス物質」を作業物質に用いることができれば、分極と磁気スピンの両方のエントロピー変化を同時に利用することで、より効率の良い冷却システムの構築が期待できる。本研究では、高電場印加の可能な電気絶縁性に優れた高品質薄膜作製プロセスを確立し、マルチフェロイクス物質の相転移温度近傍における分極と磁気スピンの相関について明らかにすることで、新規冷却素子の創生についての知見を得ることを目的としている。 今年度は、ドメインの形態を制御した薄膜の作製と、分極および磁気スピン秩序の相関の評価について取り組んだ。しかしながら、年度当初に成膜装置が故障し、修理部品の入手が困難であったために復旧が年度末となり、当初計画していた薄膜作製を進めることができなかった。そこで、過年度までに作製していた薄膜を用いて、分極および磁気スピン秩序の相関を評価するため、既存の走査型プローブ顕微鏡にて、同一視野における圧電応答および磁気応答を観察するための測定系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度における2度にわたる緊急事態宣言の発出以降、自身の出勤抑制のほか、企業からの相談・依頼業務が増加したため、本研究のエフォートとして当初計画していた30%を確保することが困難な状況が続き、当初の計画に対して大幅な進捗遅れが生じた。今年度も、装置の保守部品や測定系構築のための資材など研究の推進に必要な物品を入手することのできない状況が長く続き、計画通りに研究を推進させることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
企業からの相談や依頼業務は高止まりの状態であるものの落ち着いている。成膜装置の修理および測定系構築の準備が完了したので、当初2021年度に予定しながら実施できず、期間延長を認めていただいた2022年度も十分に実施できなかった、ドメインの形態を制御した薄膜の作製、および分極と磁気スピンの秩序の相関の評価を行う計画である。
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