研究課題/領域番号 |
19K04699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
東 康二 崇城大学, 工学部, 教授 (80320414)
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研究分担者 |
岩下 勉 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (10332090)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 鋼構造 / 溶接接合部 / 脆性破壊 / 接合部詳細 / スカラップ / 破壊評価 / 塑性拘束 / 建築構造・材料 |
研究開始時の研究の概要 |
兵庫県南部地震以後,スカラップ形状の改良を目的とした実験研究が行われ,多様な形状が提案された.JASS6型と呼ばれる標準形状が示されて以降,開先カッターの普及と共に,それ以外の形状は殆ど使用されていない.しかし,JASS6型のスカラップではスカラップ底のひずみ集中が緩和されず,そこから延性き裂が発生・進展し脆性破壊に至ることがある.スカラップ底に発生したき裂周囲の塑性拘束は比較的高い.そのようなき裂に対しては,既に提案している評価手法で的確に脆性破壊を予測できることを確認している.そこで,様々なスカラップ形状をもつ試験体にこの破壊予測手法を応用し,脆性破壊の発生を最も抑制する形状を見出す.
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研究成果の概要 |
本研究は,現場溶接接合部のスカラップ底から進展した延性き裂を起点とする脆性破壊の発生を抑制する接合部詳細の最適化を図ることを目的とする.実験と有限要素解析において,改良スカラップとフィレット部を敢えて残して切削した形状(以下,フィレット残しと記載)をもつ通しダイアフラム形式の柱梁接合部をモデル化した試験体に繰返し漸増載荷を行った.延性き裂が組立H形鋼の隅肉溶接に沿って進展し,大きな塑性変形能力を発揮した.脆性破壊を予測する2つの評価手法を用いて最大曲げモーメントを予測した.接合部耐力の比較により,提案したスカラップ形状と隅肉溶接の脚長が接合部詳細の最適化に影響を及ぼすことが明らかとなった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
兵庫県南部地震直後には,鉄骨建物の柱梁接合部におけるスカラップ底からの脆性破壊が注目され,震災後,複合円型のスカラップが推奨されたが,その後の研究により,複合円型ではスカラップ底のひずみ集中は緩和されず,脆性破壊に至る可能性が示唆されており,破壊回避策は未だに確立されていない.今後,予想される巨大地震が発生する前に,これを解決した接合部詳細を確立することは,建物の安全性を担保する上で,大きな意義がある.本研究で用いた改良スカラップとウェブの薄肉化(脚長の最小化)により,スカラップ底へのひずみ集中を回避でき,更に梁フィレット部の隅肉溶接止端に沿った延性き裂の進展によりエネルギー散逸が期待できる.
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