研究課題/領域番号 |
19K04868
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
西尾 澄人 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20443244)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | バイオ燃料 / メタンスリップ / NOx / GHG / EGR |
研究開始時の研究の概要 |
NOx、SOx規制への対応方法でもあるLNG燃料の利用は、高い温暖化係数を持つメタンが未燃のまま排出されるメタンスリップという問題がある。GHG排出規制への対応方法であるバイオ燃料の懸念は、含酸素燃料であるためNOx排出が増加することである。そこで、本研究ではLNG燃料を一部の気筒で使用し、その排ガスを、バイオ燃料を使用する気筒にEGR(排気再循環)用ガスとして導入するシステムを提案する。この方式によりNOxが低減されると共に、メタンスリップも削減される。ただし、このシステムでは気筒間の発熱パターンが異なるという問題が残る。そこで、本研究では実験的に本システムの有効性を検証する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ガス機関のメタンスリップとディーゼル機関から排出されるNOxを同時に低減するシステムの構築である。本研究ではガス燃料を一部の気筒で使用し、その排ガスを、バイオ燃料を使用する気筒にEGR(排気再循環)用ガスとして導入するシステムを提案している。この方式によりNOxが低減されると共に、メタンスリップも削減される。ただし、このようなシステムでは気筒間の燃焼のバラツキによる回転のバラツキや振動という問題が生じる。そこで、本研究では実験的に本システムの有効性を検証することとしている。 まず一部の気筒の燃料を他の気筒と違うメタンなどのガスの混焼が可能な異種燃料エンジンに改造して、気筒間のバラツキが回転数や排ガスに与える影響を調べる実験を行った。さらに、ガス燃料を一部の気筒で使用し、その排ガスをEGR用のガスとして使用するシステムに改造し、排気ガス性状への影響を調べる実験を行った。一部の気筒がメタンと液体燃料の混焼(メタンのエネルギ割合:液体燃料のエネルギ割合=50:50)での実験、及びその気筒からの排ガス約50%をEGR用のガスとして利用(EGRに使われる排ガスは全体の排ガスの約15%)するEGR実験を行い、NOxとメタンスリップの同時低減効果を確認した。 NOx濃度はEGRを行うことにより約12%低減した。EGRにより排ガス量が約15%低減することを考慮すると約25%の削減となる。また排ガス中のメタン濃度はEGRを行うことにより約40%低減した。EGRで排ガス量が減ることを考慮すると約49%の削減となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで一部の気筒の燃料を他の気筒と違うメタンなどのガスの混焼が可能な異種燃料エンジンに改造して、気筒間のバラツキが回転数や排ガスに与える影響を調べる実験を行った。さらに、ガス燃料を一部の気筒で使用し、その排ガスをEGR用のガスとして使用するシステムに改造し、排気ガス性状への影響を調べる実験を行った。 今年度は、主に本研究の成果を講演会で発表するとともに、査読論文としてまとめる作業を行った。なお、本研究の成果の概要は次のとおりである。ガス燃焼の気筒がメタンと液体燃料の混焼(メタンのエネルギ割合:液体燃料のエネルギ割合=50:50)での実験、及びその気筒の排ガスをEGR用のガスとして使用するEGR実験(EGR率:15%)を行い、NOx低減(約25%)及びメタンスリップの低減を確認した。(最初の混焼で約15%メタンスリプしたが、EGRによりその約半分を再燃焼させた) 研究の進捗状況としては、おおむね順調に進展している。しかし、本研究の2年目に私自身が腎臓癌になり、コロナ禍において手術を受けることになり、計画通りにエンジン実験が行えなくなったため、本研究の成果を査読論文にまとめるためにもう一年延長することとした。なお、査読論文はほぼ完成している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については次のように考えている。本研究をあと一年延長し、本研究の成果を査読論文としてまとめる予定である。研究はほぼ完了しており、これまでの実験結果を整理し詳細に解析し、論文投稿(日本マリンエンジニアリング学会誌)し、査読意見の対応をする予定である。
|