研究課題/領域番号 |
19K05194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
平 敏彰 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (40711974)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ホスホン酸 / 両親媒性 / 自己組織化 / 界面活性剤 / 表面処理剤 / 二分子膜 / ベシクル / リポソーム / 表面処理 / 多環芳香族 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では生体膜の分子構造機能に着想を得て、水中で膜構造を自発的に形成する新規ホスホン酸系表面処理剤を開発する。 従来の長鎖アルキルからなる水に難溶なホスホン酸系表面処理剤とは異なり、多数の芳香環をパネル状に張り合わせて親水・疎水バランスを最適化した両親媒性の3脚型ホスホン酸を設計・合成し、金属酸化物と多点で結合した強固かつ緻密な保護膜を構築する。さらに、pHによる自己集合挙動の制御が容易な水中での浸漬プロセスにより、水中で自発的に形成する膜構造を金属酸化物表面に積層させる。
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研究成果の概要 |
本研究では生体膜の分子構造機能に着想を得て、水中で膜構造を自発的に形成する新規ホスホン酸系表面処理剤を開発した。すなわち、従来の飽和アルキル基を有する水に難溶なホスホン酸とは異なり、分子骨格内にπ共役系を導入した両親媒性のホスホン酸系表面処理剤を合成した。 合成した一連のホスホン酸系表面処理剤は、特徴的なπ共役系に起因して分子がわずかに屈曲することにより分子間のパッキングが弱まり、従来の飽和アルキルホスホン酸と比べて親水性が向上し、水中において中空の閉鎖小胞体を自発的に形成した。この両親媒性ホスホン酸系界面活性剤の自発的な膜構造形成を利用した新しい表面処理プロセスの提案に至った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
リン酸エステルに代表される有機リン化合物は、リン脂質の部分構造として生体膜の高次構造や機能に直結する重要な役割を担っている。そのため、これらの分子構造機能を模倣することは、生命の本質的な理解に留まらず、材料開発における新たな設計指針となるため学術的・産業的に重要である。 本研究では、親水・疎水バランスを最適化した両親媒性有機リン化合物を新たに設計・合成するものであり、リン脂質の利用が困難な強酸条件などの過酷な環境においても金属酸化物表面で多層膜構造を形成できる点を特徴とする。従って無機・有機接合界面の緻密な制御が重要となる多様な分野への波及効果が期待できる
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