研究課題/領域番号 |
19K05244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
入江 晃亘 宇都宮大学, 工学部, 教授 (90241843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 高温超伝導体 / スピントロニクス / 固有ジョセフソン接合 / ナノ構造 / 超伝導材料・素子 / 低温物性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,Bi系層状酸化物高温超伝導体の結晶構造に由来する固有ジョセフソン接合列に着目し,電磁気的に結合した多数接合系に発現する集団的量子機能と磁性によるスピントロにクスを融合した新しい超伝導スピントロにクスの開拓とその実用化に資する基盤技術の探求を目的とする。面直スピンバルブ構造により固有ジョセフソン接合列におけるスピン輸送メカニズムを解明し,スピン流の制御方法を確立する。さらに,同接合列発現する量子コヒーレンスとスピン注入による磁気秩序の相互作用により生じうる新奇励起状態を探索し,それを動作原理とするスピンデバイスの開発を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は,磁性体/固有ジョセフソン接合/磁性体構造を作製し,固有ジョセフソン接合列における層間結合と多数接合にわたる長距離結合の両観点からスピン流が固有接合特性に及ぼす影響を明らかにした。固有ジョセフソン接合列の臨界電流の磁場依存性において,上下磁性層の磁化が反平行となるとき臨界電流が局所的極小値をとることを示すとともに,スピン流は70接合程度までは一様に流れることを明らかにした。また,観測された臨界電流の磁場依存性は,磁性体からの誘導磁場とスピン蓄積に伴うジョセフソン接合の結合強さの寄与を考慮したモデルにより説明できることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの磁性体/超伝導体接合や磁性体バリアのジョセフソン接合,並びに磁性体/金属(半導体)接合におけるスピン輸送に関する研究は,高度な高品質薄膜作製技術を駆使して行われている。本研究では,高温超伝導体において原子層スケールで自己形成されたナノ超構造に着目することで,同構造に発現するジョセフソン効果とスピン流の巨視的量子現象の相互干渉を明らかにした。これは,スピン流に基づく物質の新機能性の探索に加え,高温超伝導体単結晶のスピントロニクス応用への可能性を示すものであり,高温動作が可能な超伝導エレクトロニクスの創出が期待できる。
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